NTT東日本の渡邊大樹取締役経営企画本部長(左)と尾崎秀彦経営企画部営業企画部門長(右)
NTT東日本の渡邊大樹取締役経営企画本部長(左)と尾崎秀彦経営企画部営業企画部門長(右)
[画像のクリックで拡大表示]

 NTT東日本グループ,NTT西日本グループ,NTTコミュニケーションズは12月1日,ユニバーサル・サービス制度の負担額をユーザーに転嫁すると発表した。ユーザーの負担額は1電話番号当たり月額7.35円。東西NTTは2月1日からの利用分,NTTコミュニケーションズ,NTT-ME,ぷららネットワークスは2月期の利用分から「ユニバーサルサービス料」の名称で請求する。NTTネオメイトのIP電話サービス「AQStageコールSサービス」は,ユーザーにより1月期ないし2月期の利用分からの請求となる。

 ユニバーサル・サービス制度は,電話サービスを全国あまねく提供するために必要な費用を通信事業者全体で負担する制度。ユニバーサル・サービスの提供義務を負っている東西NTTのみが補てんの対象となっている。2006年度のNTT東西地域会社への補てん額は151億7794万1715円。これを,2005年度の電気通信事業収益が10億円以上の事業者56社で負担する。負担額をユーザーに転嫁するかどうかは各事業者の経営判断に委ねられているが,既にNTTドコモ,KDDI,ソフトバンク・グループ,ウィルコムなどがユーザーへの転嫁を発表済みである。

東西NTTはユニバ制度に関連し収支などを公開

 ユーザーへの転嫁の発表に合わせ,NTT東日本はユニバーサル・サービス制度が必要になった経緯などを説明する会見を開いた。

 会見の席上,NTT東日本の渡邊大樹取締役経営企画本部長は「ユニバーサル・サービス基金による補てんの対象は,特に採算の厳しい地域に居住する4.9%のユーザーに限られる。固定電話事業の営業赤字約294億円のうち,基金による支援は76億円。残る218億円の赤字はNTT東日本が負担する」(渡邊取締役)と,あくまでも電話網の維持が難しい地域向けの補てんであると強調した。

 競合事業者などが「経営努力で吸収すべき」と主張していることに対しては,「ユニバーサル・サービス制度による支援金額の算出は,長期増分費用モデルに基づいた現時点で最も効率的な設備を構築した場合を想定している」と反論した。

 東西NTTでは,ユニバーサル・サービスに関する情報公開用のWebサイトを設置した(NTT東日本のページ),(NTT西日本のページ)。ユニバーサルサービス料金が必要になった経緯や,補てんの対象となる電話サービスの収支やその算定方法などの公開を開始している。