11月29日の予行演習で手のひらで静脈認証をする児童(撮影:奥州市役所)
11月29日の予行演習で手のひらで静脈認証をする児童(撮影:奥州市役所)
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3学年の各教室に置かれた認証用のパソコン(撮影:奥州市役所)
3学年の各教室に置かれた認証用のパソコン(撮影:奥州市役所)
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 岩手県奥州市は、12月1日から学校の登下校通知システムの実証実験を開始した。モニターには、市立小学校の3年生児童100人を選び、今月21日まで実施する。この実験は、財団法人自治体衛星通信機構の「公的個人認証サービス活用モデルシステム導入普及事業」で選ばれたもの。

 今回の実証実験では、住民基本台帳カードと静脈認証を組み合わせたシステムを使用する。3年生の各教室に、非接触式カードリーダーとテンキー入力装置を接続した認証用のパソコンを設置。児童は登下校時に、パソコンに接続したカードリーダーに住基カードを読み込ませる。住基カードと静脈認証システムの導入で、なりすましを防止する狙いがある。

 表示されたID入力画面で、クラスと出席番号からなる数字を入力し、静脈認証装置に手のひらをかざしてきちんと認証されると、パソコンの画面に年月日と時刻、児童の氏名が表示される。確認した後にエンターキーを押すと、あらかじめ登録してある保護者のメールアドレスに、登校・下校した旨のメールが届く仕組みになっている。なお児童が認証に失敗した場合は、教職員がデータを入力することも可能だ。

 保護者や学校は、児童がきちんと登下校していることを確認できる上に、登下校の時刻も把握できる。奥州市では、実証実験の結果を元に今後全児童を対象にシステムを導入するかどうかを判断する。

 奥州市は、住基カードの普及に熱心に取り組んでいる。市内の民間企業と提携して、45カ所の店舗やホテルで、同市で発行した住基カードの提示者に買い物代金の割引などの特典を提供する実証実験を8月5日から来年3月31日まで実施している。同市の住基カード交付枚数は7247枚で、対人口比5.5%となっている(数字は10月末現在)。