接続委員会 公開ヒアリング KDDIの小野寺正社長兼会長,ソフトバンクの孫正義社長といった大手通信事業者トップがそろい,意見を述べた。
接続委員会 公開ヒアリング KDDIの小野寺正社長兼会長,ソフトバンクの孫正義社長といった大手通信事業者トップがそろい,意見を述べた。
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 総務省は11月30日,NTT東西地域会社と他通信事業者の接続ルールを議論する接続委員会を開催した。総務省では9月19日に公表した「新競争促進プログラム2010」で接続ルールの見直しを明言している。10月に各事業者から意見を募集し,今回の会合ではその内容を踏まえ,各事業者が意見を述べる公開ヒアリングを実施した。

 やはり注目を集めたのはソフトバンクの孫正義社長。他社は屋内配線工事や回線名義情報の扱い,コロケーション・ルールなど接続ルール全般について意見を述べたのに対し,孫社長は光ファイバの接続料に焦点を絞って説明した。まず「現在の光ファイバ接続料は高過ぎて事実上競争にならない。NTTは現行の接続料では赤字と主張しているが,それならなぜテレビCMなどを利用して積極的に販売するのか。理解に苦しむ」と疑問を提示。「FTTH市場における東西NTTのシェアは急速に伸びている。全体の7割を越えそうな勢いで,このままではNTTの独占がどんどん進んでしまう」とした。

 そこで出した提案が,光ファイバの貸し出しルールを見直すことによる接続料の大幅値下げだ。現在,東西NTTのFTTH用の光ファイバはPON(passive optical network)の仕組みにより,1本の光ファイバをユーザー宅の最寄りで8本に分岐している(シェアドアクセス)。現状は8分岐をまとめて借りなければならず,「我々だけでなくNTTにとっても非効率。貸し出し単位を1分岐にして全事業者でPONを共用すれば,NTTも設備の稼働率が上がる。赤字ならなおさら共同利用にすべきではないか」と訴えた。

 さらに独自の試算も披露した。「現状は8分岐をまとめて借りても1分岐しか使わないことが多いので,接続料は実質月額6200円程度」。しかし,共用を進めた上で,光ファイバの法定耐用年数を現在の10年から23.1年(現行の経済耐用年数)に延長すれば,「1分岐単位の償却後接続料を月額1370円程度に下げられる」とした。

 この提案に対してNTT東日本は,「設備を共用した場合は顧客へのサービス品質の維持が困難になるほか,独自の新サービスを柔軟に提供できなくなる。そもそも他事業者との設備の共用を想定したネットワークやシステムになっていない」などの点から1分岐単位の貸し出しは難しいと反論した。

 次回の会合は12月中の予定で,具体的な議論に入る。