写真1:Windows VistaとOffice 2007を早期に導入した法人
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写真2:三洋電機が説明する早期導入の理由
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 マイクロソフトは11月30日,「Windows Vista」「2007 Microsoft Office system」「Exchange Server 2007」の早期導入事例を明らかにした。公表したのは三洋電機,第一三共など57法人(写真1)。マイクロソフトはこれら3製品のボリューム・ライセンス販売を11月初旬から開始していた。

 Windows VistaとOffice 2007,Exchange Server 2007の3製品すべてを導入することを決めた1社が三洋電機だ。同社ITシステム本部の小澤稔弘本部長は「ご存じの通り,当社は大きな改革を進めている。改革のためには社員1人1人の意識改革が不可欠であり,意識改革のために社員のワーク・スタイル(働き方)も変えようとしている。新しい働き方を実現するために,これら3製品の導入を決断した」と語る。同社では,「Exchange Server 2007」でパソコンだけでなくモバイル機器なども使って,いつでもどこでもコミュニケーションが可能になることや,Office systemが備える「Infomation Rights Management」といった社内文書の流出を防止できる仕組みなどを高く評価したという(写真2)。

 このほか大規模な導入例としては,三共と第一製薬の持株会社である第一三共が,2007年に控える両社の完全統合時に共通の情報共有基盤として「Office SharePoint Server 2007」を採用する予定であることや,中部電力が1万7000台のクライアント・パソコンに対してWindows VistaとOffice 2007をイメージ展開する予定であること,ニコンがExchange Server 2007とSharePoint Server 2007を採用したこと,ニッセンがWindows VisataとOffice 2007を採用したことなどが紹介された。

 マイクロソフトは現在,ボリューム・ライセンス顧客に対するソフトウエア・アシュアランス(SA)の拡販や,SAの購入が必須の全社一括契約であるエンタープライズ・アグリーメント(EA)の拡大に力を入れている。マイクロソフトで企業向けビジネスを統括する平井康文執行役専務は「これまではEAのことを,金銭的なメリットが大きい契約(価格が大幅に割り引かれる契約)として売り込んでいた。しかしこれからは,EAやSAが持つ価値をもっと訴えていきたい」と語る。

 これまで同社がEAやSAの価値として訴えてきた「バージョンアップ」については,Windows Vistaの開発が大幅に遅れたことから,疑問視するユーザーもいる。しかし平井専務は「アップグレードに関する不満があるとは聞いていない」と否定した。また「具体的な数字は言えないが,日本におけるSAを契約するユーザーの比率が,欧米における比率に近づいている」(平井専務)とEAやSA契約が順調に伸びていると語った。