日本オラクルの清水照久シニアディレクター
日本オラクルの清水照久シニアディレクター
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日本HPの酒井孝雄ソリューション戦略本部長
日本HPの酒井孝雄ソリューション戦略本部長
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 日本ヒューレット・パッカード(HP)と日本オラクルは11月28日,SOA(サービス指向アーキテクチャ)を利用したシステム提案を強化するための協業を開始したと発表した。HPがオラクルのミドルウエア製品群「Fusion Middleware」をSOA案件で積極的に提案すると共に,両社が提案ノウハウを共有することで,SOAに関連する売り上げを,年2倍のペースで伸ばすことが目標だ。

 具体的には,日本HPが2006年11月1日に発足させたばかりの「サービス指向コンサルティンググループ」と,日本オラクルのSOAコンサルタント・チームが,各種のノウハウや方法論,テンプレートを共有する。

 オラクルが提供するのは,DOA(データ中心アプローチ)を活用してSOAを実現するための手法と,データ統合用ミドルウエア「Oracle Data Hubs」に関連するノウハウ。これに対して,日本HPは,これまで同社がSI事業で蓄積してきたSOA導入に関するノウハウや,SOAシステムで必要になるシステム仮想化の技術を提供するという。

 日本オラクルの清水照久システム製品統括本部シニアディレクターは「2005年に当社のSOA製品を採用した案件の9割は,データ統合やアプリケーション連携が目的のもの。SOAで話題になりがちな,全社基盤の再整備やEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)はまだわずか」と話す。現実のSOA案件では,メインフレームを含め既存システムで多用されているDOA(データ中心アプローチ)関連のノウハウが欠かせないという。

 HPはまず,「サービス指向コンサルティンググループ」の20人の専任コンサルタントに「Oracle Fusion Middleware」の特別研修を受けさせ,その後HPの他のコンサルタントにも展開する。検証センターにもOracle Fusion Middlewareを導入して作業を開始している。

 HPの酒井孝雄テクノロジーソリューション事業統括コンサルティング・インテグレーション統括本部ソリューション戦略本部長は,「ユーザー企業のニーズに応じたシステム構成パターンを既に複数作った。これらの検証結果も順次ホワイトペーパーなどの形で両社の現場に展開していく」と語る。

 ただし気になる点もある。HPの酒井本部長は「運用管理製品以外のすべてのソフトは,ベスト・オブ・ブリードでやるのがHPのポリシー」と語っている。HPには自社の運用管理製品群「OpenView」があるからだ。だが,今回の協業の対象となるオラクル製品には,2007年1月に出荷予定の「Oracle Web Services Manager」の名も上がっている。これは「Webサービスのセキュリティを管理する」(清水ディレクター)製品であり運用管理ソフトに近い。HPも無条件に担ぐわけにはいかなさそうだ。