マイクロソフトは11月24日、米国で先行して販売していた企業向けウイルス対策製品を、12月から順次国内でも提供することを発表した。セキュリティ市場参入の狙いを、「Windows Vistaに搭載するセキュリティ機能や、これまで提供している各種セキュリティ製品や技術と合わせて、包括的なセキュリティ基盤を提供すること」と、サーバープラットフォームビジネス本部の齋藤義憲シニアプロダクトマネージャは説明する。

 投入するのは、12月1日に「Microsoft Forefront Security for Exchange Server」と「Microsoft Forefront Security for SharePoint」のサーバー向け2製品、2007年中頃にクライアントPC向けの「Microsoft Forefront Client Security」である。Forefront Client Securityは、12月13日に日本語ベータ版を公開する。

 サーバー向け2製品の特徴は、ウイルス検出エンジンを九つ搭載していること。マイクロソフトのエンジン以外に、韓国のアンラボや、米CA、ロシアのカスペルスキー、英ソフォスなど8社のエンジンを組み込んでいる。各社が作成したパターン・ファイルは、マイクロソフト経由で配信される仕組みである。これらのエンジンの使用料は、製品価格に含まれる。「パターン・ファイルの更新スピードがベンダーによって異なる。そのため企業の多くが、クライアントはA社製品、サーバーはB社製品と、複数ベンダーの製品を導入している。そのようなユーザー企業には朗報なのではないか」(齋藤マネージャ)。

 Forefront Client Securityの特徴は、使いやすさと、セキュリティ対策の状況などをレポートとして表示するなどの管理のしやすさ。あらかじめシステム管理者が必要とするであろう統計やレポートを用意している。「既存ベンダーも多くの製品を提供しているが、ユーザーからはいまだに使い勝手への不満の声が上がっている。設定ミスによる事故も絶えない」(米マイクロソフト セキュリティ プロダクト マーケティングのホゼ・ホンタネス シニアプロダクトマネージャ)。

 ユーザーは、ほかのウイルス対策ソフト同様、年単位でライセンスを購入する。基本は3年契約で、価格はForefront Security for Exchange Serverが1ユーザー当たり月額200円、Forefront Security for SharePointが1ユーザー当たり月額100円である。例えば、Forefront Security for Exchange Serverを200人規模の企業が導入した場合、3年間のライセンス料金は144万円になる。Forefront Client Securityの価格は未定。