2006年12月に,地上デジタル放送が全国レベルで始まる。関東・近畿・中京の放送事業者が2003年12月1日に他社に先駆けて地上デジタル放送を始めてから3年で,全国のすべての放送事業者が地上デジタル放送を親局から送出する体制が整う。各社とも津々浦々で地上デジタル放送を見られるように,さらに中継局のデジタル化を進めることにしている。

 総務省が放送のデジタル化とセットで推進しているのが,通信インフラのブロードバンド(高速大容量)化である。総務省は,中継局のデジタル化を完了させるのと同じ2010年に,光ファイバーをはじめとするブロードバンド回線を全国津々浦々で利用できるようにする方針を打ち出している。

 ところが放送業界には,「総務省の政策は矛盾している」という批判が根強くある。地上デジタル放送を全国で受信できるように,放送事業者に中継局の整備を求めながら,同時にブロードバンド回線でも地上デジタル放送を見られるようにするところが矛盾しているというのである。