NECは,携帯電話の画面上に,PC向けWebページの縮小イメージ(オーバービュー画像)を表示し,見たいページのブロックを選択すれば,簡単に目的ページに到達できる携帯電話向けブラウザを開発した。従来のモバイルブラウザの1/15に操作数を削減でき,パケット通信量も約60%削減できる。
多くのWebページはPC向けに作られており,携帯電話からでは快適に閲覧できない。携帯電話の画面が小さいのでページの全体像を把握しにくかったり,情報に到達するための操作回数が多いなどの問題があった。
開発した携帯電話ブラウザは,サーバ上のレイアウト解析エンジンを使って実現した。すなわち,Webページを構成する複数の領域やタイトルの位置関係などの特徴を解析し,人間の直感に合ったブロック(意味的なまとまり)とタイトル文字列を自動抽出する。その結果をオーバービュー(縮小イメージ)画面に表示して全体像を把握し,ブロック選択によって詳細画面を表示するようにした。
携帯電話ユーザーは,まずオーバービュー画面で,全体を把握し(図1),見たいブロックを選択(ズームイン)して詳細情報を見る(図2)。別の場所を見たいときは,またオーバービュー画面に戻って(ズームアウト)操作を繰り返す。ブラウザは,アプリケーションをダウンロードすれば利用でき,携帯電話の機種に依存しない。テレビやPDAなどの端末にも適用できる。
開発したブラウザを使って,インターネット視聴率上位10サイトを対象に調査を行ったところ,従来のモバイルブラウザと比べて約1/15(6%)の操作数で閲覧できたという。また,Webページのコンテンツを全てダウンロードする必要がないため,パケット通信量を約60%削減できる。
コンテンツ提供者にとってもメリットがある。PC向けWebページをモバイルブラウザで閲覧できる形に自動変換できるため,携帯端末ごとにWebページを開発する必要がなくなり,開発コストと維持コストを合わせて1/3程度に削減できるという。