金融庁は11月21日午後、上場企業に内部統制の整備を求める日本版SOX法(金融商品取引法)「実施基準」の公開草案(以下、実施基準案)を正式発表した。金融庁のWebサイトで参照することができる。

 昨日(11月20日)、金融庁企業会計審議会内部統制部会の第15回会合が開かれ、実施基準案についての討議が行われた。会合では大幅な内容変更につながるような意見は出ず、今月6日の第14回会合時に公表された従来の配布資料と比べて、随所に表記の微調整を加えるにとどまっている(関連記事1関連記事2)。

 金融庁は実施基準案の公表後12月20日まで、「パブリックコメント」の形で広く一般から意見を募集する。部会関係者によると、「パブリックコメント締め切り後の年末年始に、意見を実施基準に反映する作業を進め、年明け早々に再度部会の会合を開いたうえで、1月中旬には実施基準を確定して出したい」という。

 実施基準は、企業が日本版SOX法に対応した内部統制を構築・評価するための実務的な指針に当たる。そのため、企業の実務担当者から公表が待たれていた。

 実施基準の内容は、「I.内部統制の基本的枠組み」「II.財務報告に係る内部統制の評価及び報告」「III.財務報告に係る内部統制の監査」の3本立てで、全体は93ページに及ぶ。

 内部統制の整備・評価に当たって重要な事業拠点を選定する際に、「金額の高い拠点から合算していき、連結ベースの売上高等の一定の割合(例えば、概ね3分の2程度)に達している事業拠点」を評価対象とする、といった数値基準に触れている。「業務の流れ図」「業務記述書」「リスクと統制の対応(いわゆるリスク・コントロール・マトリクス)」という、内部統制評価の前提として作成すべき図表を例示していることもポイントである。