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 いわゆる「UTM」(統合脅威管理)と呼ばれるアプライアンス分野で、フォーティネットジャパンが出荷実績を伸ばしている。2006年第1四半期の出荷金額では、シスコなどの大手を抑え1位となった(IDC調べ)。フォーティネット日本法人の岡本吉光社長に、市場拡大のための戦略を聞いた。

■ユーザー企業はスパイウエアやスパム、フィッシングサイトなど様々な脅威にさらされており、ファイアウオールだけでは守りきれなくなっている。かといって、それぞれの脅威に対応するため複数のセキュリティ装置を運用するのは大変だ。UTMがユーザー企業に受けている理由は、ファイアウオール、コンテンツフィルタリング、不正侵入防御(IPS)など、複数のセキュリティ機能を1台に集約していること。運用コストを大幅に削減できるため、専任のシステム担当者を置く余裕のない中堅・中小企業にとっては特に受けがいい。実際、中堅中小市場での出荷実績はこの数年、年間60%以上のペースで伸びているほどだ。

■さらに2006年からは、通信事業者がUTMを導入するケースも増えてきた。例えば10月にはNTTPCコミュニケーションズが、当社のハイエンド製品「FortiGate 5000」を採用して運用を始めた。同社はホスティングサービスにアンチウィルスなどの付加メニューを用意しているが、そのインフラに活用している。複数のセキュリティ装置を運用する場合と比較して運用コストを抑えられるほか、冗長構成がとりやすいといった点を評価してくれた。これに先駆けてKDDIや大塚商会なども、当社のUTMを導入済みだ。

■我々が次に狙っているのは大企業。だがそうした企業は既に複数のセキュリティ装置を導入・運用しているケースが多く、UTMをそのまま売り込めるとは思わない。そこで大手SIerともがっちり手を組み、彼らのソリューションの“部品”として売ってもらうよう働きかけている。具体的には手始めに、2007年の第2四半期から新たなパートナープログラムを立ち上げる予定だ。営業・販売・教育など様々な側面で、SIerのビジネスを支援していく。

■パートナープログラムを開始する上でSIerに伝えたいのは、UTMが「SIerがストックビジネスを始めるための有力なツールになる」という点だ。私はかって米大手通信機器メーカーでパートナービジネスを担当していたが、そのころのサービス契約率は3割程度に過ぎなかった。これに対して、FortiGateの保守サービス契約率は、導入企業の7割以上。UTMを売るだけでなく保守サービスの提供につながるはずだ。