写真1 12月発売予定の地上デジタルラジオ放送対応携帯電話機「W44S」
写真1 12月発売予定の地上デジタルラジオ放送対応携帯電話機「W44S」
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写真2 左から,レーベルゲートの今野敏博社長,KDDIの小野寺正社長兼会長,エフエム東京の後藤亘会長
写真2 左から,レーベルゲートの今野敏博社長,KDDIの小野寺正社長兼会長,エフエム東京の後藤亘会長
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 KDDIは11月16日,携帯電話としては初となる地上デジタルラジオ放送に対応した端末「W44S」を発表した。発売は12月。携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」にも対応する。W44Sはソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製で,携帯電話機本体の開閉が縦方向だけでなく,映像の視聴を考慮した横方向にもできる点が特徴(写真1)。メイン画面に約3インチのフルワイド液晶を搭載,ソニー製液晶テレビ「BRAVIA」の高画質技術を応用して鮮やかな表示を実現したという。

 地上デジタルラジオ放送は,VHF帯を使った放送サービス。「ワンセグ」と同じく1セグメントを使用した音声・データ放送と,2セグメントを使用した拡張データ放送で構成する。合計3セグメントの帯域を使用してサービスを提供するため「3セグ」とも呼ぶ。拡張データ放送では,放送波を使った楽曲のダウンロード・サービスなどが可能。放送波を使うため,ユーザーにとってはダウンロードの際のパケット通信料がかからないメリットがある。

将来的に携帯はワンセグ,3セグ対応になる

 今回の発表会では,KDDIの小野寺正・代表取締役社長兼会長だけでなく,12月1日から地上デジタルラジオ放送を本格展開するエフエム東京の後藤亘・代表取締役会長,地上デジタルラジオ放送の放送波を使って楽曲や映像のダウンロード・サービスを実施するレーベルゲートの今野敏博・代表取締役社長も登壇(写真2)。各氏が地上デジタルラジオ放送についての意気込みを語った。

 とはいえ,地上デジタルラジオ放送に対応する携帯電話機は現状「W44S」1機種だけ。さらに地上デジタルラジオ放送は,今のところ東京と大阪だけの展開である。今後の対応機種について問われたKDDIの小野寺社長は「端末のラインアップによってデジタルラジオを入れていきたい」と明言は避けたが,「将来的に(どの携帯電話機にも)ワンセグ,3セグの両方が載ることになるだろう」との見通しを述べた。

 また,エフエム東京の後藤会長は「2011年になれば全国レベルで(地上デジタルラジオ放送を)展開できるようになる。それまでは大都市中心にエリアを拡張していきたい」と説明した。なお12月1日からエフエム東京が本格展開する地上デジタルラジオ放送は,同社が免許を受けた本放送ではなく,デジタルラジオ推進協会(DRP)の正会員として同社が実施する「実用化試験放送」である。