京都大学経営管理大学院 大学院経済学研究科教授 末松千尋氏
京都大学経営管理大学院 大学院経済学研究科教授 末松千尋氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「オープンソースがもたらしたトランザクション(取引)コストの劇的な低下がイノベーションを活性化する」---京都大学経営管理大学院 大学院経済学研究科教授 末松千尋氏は11月15日,日本ヒューレット・パッカードとレッドハットが主催した【HP/Red Hat】 Open Source Summitの基調講演でこう指摘した。

 末松氏は「物理上の制限のもとでの有限な資源をいかに取り合うかから,オープンソースがもたsらす,無限に拡大する知的資源を活用するためにいかに協調するか,への変化が起きている」と語る。

 オープンソースは,価格をゼロとするライセンス形態を採用することで,相手との相互理解や交渉,決済といったトランザクション(取引)のコストを従来と比較して劇的に削減したと末松氏は言う。複製コストがゼロに近づいたことで,生産コストに占めるトランザクション・コストの比重は増大する。トランザクション・コストの削減が競争力のカギを握ることなる。

 そして「トランザクション・コストが削減されれば,知財の流通が活発化し,創造活動の生産性が激増する」(末松氏)。知識が互いに刺激しあい,集積し触発することにより,イノベーションが活性化される。その実例がオープンソース・ソフトウエアであると末松氏は指摘した。