スウェーデンのエリクソンは11月15日,家庭や小規模オフィス向けの第3世代携帯電話(3G)基地局を2007年末に発売すると発表した。家庭のADSLやFTTH回線と接続することで,屋内で携帯電話を利用した場合のトラフィックを,固定回線経由で通せるようにする。家庭内での通信料金を別体系にするといったような,FMC(fixed mobile convergence)サービスを実現できる。

 通信方式はW-CDMA,HSPA(high speed packet access)に対応。携帯電話事業者が商用サービスで使っている電波と同じ周波数を利用して通信する。そのため,既存の3G端末をそのまま利用できる。無線LANやBluetoothを利用するアイデアは既に商用化されているが,専用の端末が必要だった。今回の製品は専用端末が要らない点が特徴だ。なおHSPAとは,HSDPA(high speed downlink packet access),HSUPA(high speed uplink packet access)の総称である。

 価格は数万円程度になる見込み。通信事業者を通じて販売する方針だ。「通信事業者からの正式な受注は現時点ではないが,多くの事業者に興味を持ってもらっている。世界初の導入事例は,おそらく日本の事業者になるのではないか」(エリクソン ABのミカエル・ベック副社長WCDMA無線ネットワーク)とした。

 このような製品は「フェムト」や「ホーム・ベースステーション」などと呼ばれ,通信業界の注目を集めている。エリクソン以外にも,英国のピコチップ(picoChip)やユビキシス(UbiquiSys),アイピー.アクセス(ip.access)など数社が取り組みを発表済み。今後,多くのメーカーの参入が予想される。