インテルは2006年11月15日、業界初となるクアッドコアCPUの製品群を正式に発表した。サーバー向けの「Xeon」で4製品、ハイエンドデスクトップパソコン向けの「Core 2 Extreme」で1製品を投入する。同時にクアッドコアCPUを搭載したサーバーやハイエンドのデスクトップパソコンを、各メーカーが販売開始する。
クアッドコア(Quad Core)とは、CPUの計算回路であるCPUコアを4つ搭載していることを意味する。CPUコアを2つ搭載する従来のデュアルコアの2倍となる。負荷のかかるハイビジョン動画の編集や再生を同時に実行しても、コマ落ちなく動画を再生できるなど、複数の作業を同時に実行する際に高い性能を発揮する。
今回インテルが発表したクアッドコアCPUのスペックと価格は下表の通り。サーバー向けでは、従来のXeon 5100番台から新たにXeon 5300番台を設け、4種類を投入する。デスクトップパソコン向けでは、今回はCore 2 Extreme QX6700のみとなる。従来製品との比較では「Xeon 5300番台が同5100番台に対して最大1.55倍、Core 2 Extreme QX6700がCore 2 Extreme X6800に対して最大1.7倍の性能向上を実現している」(インテルマーケティング本部長の阿部剛士氏)という。
ただし、動作周波数の最大値はサーバー向け、デスクトップパソコン向けともに従来製品のほうが高い。例えばCore 2 Extreme QX6700は、動作周波数が2.66GHzという標準クラスのデスクトップパソコン向けCPU「Core 2 Duo E6700」を、2つ組み合わせたような設計になっている。そのため動作周波数は同じ2.66GHzとなっており、動作周波数が2.93GHzの従来製品Core 2 Extreme X6800に劣る。単純に動作周波数だけで速度が決定するようなアプリケーションを使った場合は、従来製品のほうが処理が速いといった状況も起こりうる。
クアッドコアCPUの発表と同時に、デルなどがXeon 5300番台を搭載したサーバーを、エプソンダイレクトやマウスコンピューターがCore 2 Extreme QX6700を搭載したハイエンドのデスクトップパソコンを、それぞれ発売している。
なお、2007年早々には、「Core 2 Duo」の後継となる、デスクトップパソコン向けCPUのクアッドコアCPU「Core 2 Quad」が登場する。またXeon系列のクアッドコアCPUでは2007年1月から3月までに、実使用上の最大消費電力(TDP)を50Wに抑えた低電圧版と、低価格サーバー向けの2製品を投入する。
CPU | 動作周波数 | FSB | L2 キャッシュ |
TDP | 価格 |
Xeon X5355 | 2.66GHz | 1333MHz | 8MB (4MB×2) |
120W | 14万850円 |
Xeon E5345 | 2.33GHz | 80W | 10万2270円 | ||
Xeon E5320 | 1.86GHz | 1066MHz | 8万2920円 | ||
Xeon E5310 | 1.6GHz | 5万4680円 | |||
Core 2 Extreme QX6700 |
2.66GHz | 130W | 12万60円 |
TDP(Thermal Design Power )は実使用上の最大消費電力。価格は1000個注文時の単価 |