![]() キユーピーのサラダ製品の従来のラベル(左)と新しいラベル。都道府県名まで表示 [画像のクリックで拡大表示] |
![]() キユーピー技術開発部のメンバー。左から北川未里氏、神路祇司部長、蔵本賢吾氏 [画像のクリックで拡大表示] |
キユーピーが、サラダ製品のトレーサビリティー(追跡管理)の強化に取り組んでいる。2006年5月から「原産地表示システム」の導入を開始。10月までにグループ5工場への展開を完了した。
法規制の強化や消費者意識の高まりから、キユーピーではサラダ製品の原料原産地を「レタス:福島県、ニンジン:千葉県」といったように都道府県単位で細かく表示している。以前は「国産」とのみ表示していた。
従来は紙の荷受表を調べて、原料原産地のラベルを打ち出していたが、「レタスを使用する製品だけでも50種類近くもあり、入庫する生野菜の産地も頻繁に変わる。大きな手間がかかるうえ、表示と中身が食い違うリスクもあった」(技術開発部FAチームの蔵本賢吾氏)。
新システムでは、野菜を入庫する際にパソコンに入庫日や産地などを入力するとともに、野菜の箱に2次元バーコード付きの「入庫票」を張り付ける。この原料を使用する際にバーコードを読み取ると、自動的に都道府県名入りのラベルが出力される。
原料の使用履歴がデータで残し、事後に検索しやすくするのも新システム導入の狙い。従来は、原料の履歴が紙にしか残らないため、特定の原産地の野菜にトラブルが発生したときにそれを使った製品を探すのが大変という問題があった。
従来は入庫時と製造時にそれぞれ1日60~90分の手作業が発生していたが、新システム導入によりほぼゼロになった。キユーピーには、社内に13人の「技術開発部」というチームがあり、生産現場に入り込み、手作りの情報システムで作業改善を図る役割を担う。今回の仕組みも技術開発部が自前で開発することによって、導入費用は1工場あたり100万円程度に抑えた。
技術開発部の神路祇司部長は、「サラダや惣菜の工場では手作業が多く、工場ごとの作業環境の差も大きい。システム面でも、投資を抑えつつ自前できめ細かく対応する必要がある」と説明する。