総務省は11月10日,2.5GHz帯を使った無線ブロードバンドの技術条件を議論する「広帯域移動無線アクセスシステム委員会技術的条件作業班」の第8回会合を開催した。最終回となる今回の会合では,作業班の上部組織である広帯域移動無線アクセスシステム委員会に提出する報告書案をまとめた。報告書案には,他の無線システムとの干渉を防ぐための周波数「ガードバンド」の帯域幅についての具体案が盛り込まれた。
作業班はこれまでに,IEEE 802.16e(モバイルWiMAX),IEEE 802.20(MBTDD 625k-MC mode),IEEE 802.20(MBTDD Wideband),次世代PHSの4種類の通信方式を2.5GHz帯で実用化するために必要な技術条件を議論。特に2.5GHz帯を利用する異なるシステム間のガードバンドの帯域幅について議論が白熱していた。
報告書案では,シミュレーションの結果に基づいてWiMAXと他方式を共存させる場合のガードバンドを明記。送受信のタイミングを合わせない非同期のWiMAX同士のほか,WiMAXと他のいずれの方式との組み合わせでも,共存可能なガードバンドは5MHzであるとした。同期のWiMAX同士の場合は,周波数利用効率の劣化を10%まで許容する場合,ガードバンドは1MHzになる。
また作業班は,2.5GHz帯と隣接する衛星システム(NTTドコモのN-Starとモバイル放送のモバHO!)とのガードバンドも報告案に盛り込んだ。N-Starとのガードバンドは10MHz,モバイル放送とのガードバンドは5MHzが適当だとした。
作業班は報告書案を,11月14日に開催される広帯域移動無線アクセスシステム委員会の第3回会合に提出する。その後,パブリック・コメントを募集し,12月中旬に同委員会がパブリック・コメントに対する考え方を示す。12月中には情報通信審議会が答申を出す予定。