セキュリティ・ベンダーのラックとシステム・インテグレータのエー・アンド・アイ システム(A&I)は11月10日、経営統合することで合意したと発表した。ラックが持つセキュリティ関連技術やノウハウを、A&Iが強みにする金融機関や人材派遣業向けシステムの開発段階から提案することで、競合他社との差異化と案件規模の拡大を狙う。

 両社は、来年3月に開催するそれぞれの株主総会における承認を経た後に、完全親会社となる持ち株会社を7月2日に設立する予定。ラックとA&Iは、持ち株会社の完全子会社になる。持ち株会社の社長には、ラックの創業者で、A&Iの取締役会長の三柴元氏が就任する予定だ。同氏は、両社の筆頭株主でもある。株式移転比率や持ち株会社名などは今後、検討していく。

 両社は2005年2月に資本・業務提携。その後、A&Iは06年3月期に大型案件の中止で約27億5700万円の損失を計上したことから、今年4月に三柴氏を割当先とする第三者割当増資と自己株式の処分で資金を調達した経緯がある。

 なお、A&Iは11月10日付けで06年3月期の半期報告書と有価証券報告書を訂正することも発表した。同期に計上した約27億5700万円の損失額のうち、約12億6700万円を06年3月期中間期にさかのぼり、特別損失として計上する。