写真 2007年3月期中間決算を発表するNTTの和田紀夫社長
写真 2007年3月期中間決算を発表するNTTの和田紀夫社長
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 「東西NTTのひかり電話がつながりにくくなったことについてお客様,関係各位にお詫びさせていただきたい」――。11月10日,NTTの2007年3月期の連結中間決算(2006年4月~9月)の発表は,和田紀夫・代表取締役社長(写真)の謝罪から始まった。ひかり電話のトラブルを「重く受け止めている」とし,東西NTTとともに「光IP電話信頼性向上対策プロジェクト」を立ち上げることを公表。東西NTT間で情報の共有を進め,障害の再発防止に努める。また和田社長は,このプロジェクトの成果は「次世代ネットワーク(NGN)の構築にも生かしていきたい」とした。

 中間決算自体は対前年同期比で増収減益。売上高は対前年同期比0.3%増の5兆2493億円,営業利益は同9.4%減の6915億円,中間純利益は同11.9%減の2915億1500万となった。売上高はブロードバンド・サービス「Bフレッツ」やSI関連事業が好調だったものの,音声関連収入の落ち込みが大きかった。営業利益について和田社長は,「減益だが年間では58%の進捗であり想定内の水準。年間計画である1兆2000億円の営業利益は達成できる」とした。

Bフレッツは年間270万増にめど

 Bフレッツや加入電話の契約数も公表した。「Bフレッツの契約数は昨日(11月9日)までの速報値で500万契約を突破した」(和田社長)と好調ぶりをアピール。9月末時点では472万3000契約で2006年3月末から130万の純増を達成。「年間目標である270万純増のめどもつきつつある」とした。一方,9月末のフレッツADSLの契約数は558万6000で,2006年3月末比では9万6000の純減だった。

 加入電話とINSネットの契約数は純減が続いており,2006年9月末の契約数は合計で5263万9000。2006年3月末比では213万1000の純減。ただし,「当初想定したほどの落ち込みは見られない」として対前年度の純減予測を上方修正。492万7000の純減に改めた。

NGNトライアル参加企業明かすもサービスには新味なし

 和田社長は東西NTTが12月から開始するNGNの実証実験(フィールド・トライアル)についても従来よりも具体的に説明した。インターネット接続事業者がNTTのNGN網と相互接続するNNI(網間インタフェース)のトライアルには6社が,サービス提供事業者がサーバーを接続するためのSNI(サーバー網インタフェース)やユーザーの端末を接続するためのUNI(ユーザー網インタフェース)を使うトライアルには7社が参加する。

 参加企業はNTTグループ以外では,NEC,NECビッグローブ,シスコシステムズ,ソニー,日立製作所,松下電器産業など。和田社長は具体的なサービス像として,現行のひかり電話よりも音質がいい音声通信,高品質なテレビ電話,IMS(ip multimedia subsystem)準拠のマルチメディア・サービス,ハイビジョン映像の配信,地上デジタル放送の再送信などを挙げた。