USBドライバのメンテナである米NovellのGreg Kroah-Hartman氏
USBドライバのメンテナである米NovellのGreg Kroah-Hartman氏
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SCSIドライバのメンテナである米SteelEyeのJames Bottomley氏
SCSIドライバのメンテナである米SteelEyeのJames Bottomley氏
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Linuxの自動テスト・システムを担当する米GoogleのMartin Bligh氏
Linuxの自動テスト・システムを担当する米GoogleのMartin Bligh氏
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カーネル解析ツールSystemTapプロジェクト 日立製作所の平松雅巳氏
カーネル解析ツールSystemTapプロジェクト 日立製作所の平松雅巳氏
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Free Standard Group 米IBMのTheodore Ts'o氏
Free Standard Group 米IBMのTheodore Ts'o氏
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パネルディスカッション「オープンソース・コミュニティで活動するために知っておきたいこと」
パネルディスカッション「オープンソース・コミュニティで活動するために知っておきたいこと」
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 「Linuxカーネル開発への参加は,バグ修正パッチから始めると受け入れられやすい」(富士通サーバシステム事業本部 Linux ソフトウェア開発統括部 亀澤寛之氏)---OSDL Japanが11月9日,第3回 OSDL Japan Linux Symposiumを開催,国内外の多数のLinuxカーネル開発者が講演を行った。

 USBドライバのメンテナである米NovellのGreg Kroah-Hartman氏は「Myths, Lies and Truths for Linux Kernel(Linuxカーネルの神話,嘘,真実)」と題して講演,「Linuxカーネルのプラグ&プレイ機能がWindowsのレベルに達していないというのは迷信であり,LinuxはいかなるOSよりも多くのデバイスをサポートしている」などと述べた。

 SCSIドライバのメンテナである米SteelEyeのJames Bottomley氏は「Linux Device Driver Roadmap Or Why we Don't Have One(Linuxデバイス・ドライバのロードマップ,或いはなぜ我々はそれを持たないのか)」と題して講演,「ロードマップは製品の販売計画を立てるために必要とされるもの。オープンソースでは良いアイデアを思いついた人がそれを実装し,実証することによって進化していく。それゆえ,ロードマップは必要とされない」と商用ソフトとオープンソース・ソフトウエアの開発スタイルの違いを指摘した。また「カーネルのメンテナとなったことで製品の開発がやりやすくなった。社内でカーネル開発者を育てるべき」とアドバイスした。

 Linuxのテストシステムの責任者である米GoogleのMartin Bligh氏は,「Fully Automated Testing of the Linux Kernel(Linuxカーネルの完全な自動テスト)」と題し講演,Linuxの自動テスト・システムの概要を紹介した。Linuxのカーネルは毎晩自動テストが行われており「その結果はhttp://test.kernel.orgで公開されている」(Bligh氏)。

 日立製作所の平松雅巳氏は「SystemTap Howto」と題して講演した。SystemTapはLinuxカーネルの動作や性能を取得するツール。「カーネルに一切手を加える必要がなく,カーネルの動作をグラフ化する機能も備えている」(平松氏)。Red Hat,IBM,Intel,日立の技術者が開発を行っている。

 米IBMのTheodore Ts'o氏は「FSG and Linux Standard Base」と題して講演した。FSG(Free Standards Group)は,Linuxの標準であるLSB(Linux Standard Base)を策定している団体。LSBはディレクトリ階層やライブラリ,パッケージなどを対象としている。また標準化以外にもテストや,デベロッパーネットワークなどのツール認証とブランディングについて取り組んでいる。「Microsoftはこれらをうまく行っており,Linuxも充実させていく必要がある」(T'so氏)。

 最後に,「オープンソース・コミュニティで活動するために知っておきたいこと」と題するパネルディスカッションが行われた。Greg Kroah-Hartman氏は「パッチを投稿する前には『Documentation/SubmittingPatches』などのドキュメントを読んでおくべき」とアドバイス。James Bottomley氏はメンテナとして通常投稿されたパッチをどう処理しているかを紹介した。富士通の亀澤寛之氏は「Linuxカーネル開発への参加は,バグ修正パッチから始めると受け入れられやすい。リリースされたカーネルをテストすれば,バグ修正パッチはいくらでも書ける」と,自らの体験を交えてカーネル開発に参加するノウハウを紹介した。

 これらの講演の資料はOSDL Japanのサイトで公開されている。