サン・マイクロシステムズ日本法人のDan Miller会長
サン・マイクロシステムズ日本法人のDan Miller会長
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 サン・マイクロシステムズ日本法人会長で,2007会計年度から米Sun MicrosystemsのGlobal Systems Practice担当シニア・バイスプレジデントに就任したDan Miller氏(写真)が11月9日,東京都内で記者向けのラウンドテーブルを開催。最近の好調な業績や,成長理由などについて語った。Miller氏が担当するGlobal Systems Practiceは,サーバーやワークステーションなど,Sunの中で最も大きな製品セグメントを扱っている。以下,Miller氏の発言の要約となる。

広範な選択肢が顧客から評価を受けた

 Sun Microsystemの2007会計年度第1四半期(2006年7月-9月)の業績は非常に好調だ。売上高は前年同期比で17%もの成長を示している。私が担当するサーバー・ビジネスも前年同期比15%の成長を遂げており,サーバーの金額シェアは米Dellを抜いてワールドワイドで第3位になった。Sunの最近の業績については,「リカバリ」という表現で報道されることが多い。しかし,Sun全体では3四半期連続で売上高は2桁成長を続けている。日本法人の2桁成長も2四半期連続だ。「リカバリ」の時期は過ぎて,すでに成長軌道に乗っていると言えるだろう。

 ただし,利益という面で見ると,第1四半期は損益分岐点を越えることができなかった。これは,2005年秋に買収したストレージ機器メーカーのStorage Tekに関連する支払いが完了していないという事情があったためだ。

 Sunが成長の軌道に戻った理由には次のようなものがある。

 1つは毎年およそ20億ドルに及ぶ巨額の投資を続けて,素晴らしい製品を開発してきたこと。2つ目は他のベンダーと比較して,最も広範な選択肢を提供していること。例えば,OSではSolaris,Linux,Windows,プロセサではRISCアーキテクチャのSPARC,x64アーキテクチャのAMD Opteronがある。そして,3つ目はこれらの製品をオープンなシステムとして提供していることだ。

Linuxは練習用ボール,本番でスコアを伸ばしたければSolaris

 中でも,成長の最も大きな理由は,サーバー向けの用途でSolarisが幅広く受け入れられていることだ。世界中で大量に使われているOSには現時点で,Windows,Linux,それにSolarisの3つがある。これら3つのうち1社のベンダーが法的な対応を含めて責任を持てるOSは,WindowsとSolarisの2つ。そして,この2つのうちオープンソースとして提供されているOSはSolarisだけだ。

 Linuxは一時,優れた選択肢と見なされていた。しかしLinuxは現在,混乱状態にある。Linuxのディストリビューションには多くの選択肢があると思われていたが,その多くが消えてしまい,現時点ではRedHatとSUSEぐらいになってしまった。Oracleが独自のLinuxディストリビューションを提供すれば,それも選択肢になるかも知れない。

 SunもLinuxを提供しているが,これは顧客が希望しているからだ。ネットワークの周縁部(Edge)で使う分には,Linuxにはコストを抑えるなどのメリットがある。しかし,クリティカルなサーバーにはSolarisが適している。Linuxは言わば,練習場で使うためのゴルフ・ボールであり,「数を打ちたいが,無くなっても惜しくない」ような用途に使うものだ。これに対して,Solarisは本番用のゴルフ・ボールだ。飛距離を伸ばして良いスコアを出したいなら,Solarisが適している(談)。