共同会見するチェック・ポイント社長の杉山隆弘氏(右)と,ノキア エンタープライズ・ソリューションズ事業部 カントリージェネラルマネージャーの森本昌夫氏(左)
共同会見するチェック・ポイント社長の杉山隆弘氏(右)と,ノキア エンタープライズ・ソリューションズ事業部 カントリージェネラルマネージャーの森本昌夫氏(左)
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 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズとノキア・ジャパンは11月9日に共同で会見し,次世代UTM(Unified Threat Management,統合脅威管理)の製品戦略を明らかにするともに,販促及びサポートでの協業関係を強化すると発表した。

 まずチェック・ポイント社長の杉山隆弘氏は,次世代UTMの製品戦略について,「VPNファイアウオール,ウイルス対策,IDS/IPSなどの基本機能に加え,SSL-VPN,Webアプリケーション保護,エンドポイント(クライアント)保護,スパイウェア対策まで含めた統合的なセキュリティ管理機能を提供する」と説明し,大手企業から中堅・中小企業までが必要に応じてテクノロジーを実装できるような製品構成にしていくという考えを示した。すでに5月から統合型セキュリティ・ゲートウエイ・ソフト「VPN-1 UTM」(価格は56万円/50ユーザー~192万円/500ユーザー)を国内販売しており,今後はさらに拡張性や操作性を高めていく。

 一方ノキアは,ネットワーク・セキュリティ製品の上位機を大企業中心に販売してきたが,今後は中堅中小企業や大企業の支社・支店などを対象に中下位機の販売にも注力する。同社の主力製品は,1台の装置にファイアウオールやインターネットVPN(仮想私設網)機能を実装できるネットワーク・アプライアンス「IP」シリーズ。これの中下位機種「Nokia IP560/390/260」(49万2000円~324万9000円)の販売を強化し,さらに低価格の製品も投入するという。

 「VPN-1 UTMを搭載したIPシリーズを導入すると,プラットフォームに汎用サーバを使う場合に比べ,ライセンスの流用やバージョンアップによる機能追加といったメリットがあり,長い目でみれば投資対効果が高い」と,エンタープライズ・ソリューションズ事業部 カントリージェネラルマネージャーの森本昌夫氏は強調する。

 具体的な共同施策としては,まず,11月20日から2007年3月末までの期間限定割引を実施する。他社製品のユーザーが,VPN-1 UTMを搭載したNokia IPシリーズに乗り換えた場合,VPN-1 UTMのライセンス価格を35%割り引くほか,ハードウェアのIPシリーズについてもモデルに応じた割引価格を適用する。

 サポート体制についても両者の連携を強化する。従来,ノキアは代理店を窓口としてユーザー対応を行っていたが,ワンストップで直接ユーザー・サポートを行う「Nokia Access」を新設する。「VPN-1 UTMのトラブルであってもノキアが窓口になり,完全に解決するまで責任を持ってサポートする」と森本氏はCS向上への意欲を見せる

 さらにノキアは,金融や大手通信などのミッション・クリティカルなユーザーに対する新しいサポートサービス「TAM(テクニカル・アカウント・マネージメント」を2007年から実施する。1年単位の有償契約を結び,ユーザー各社に専任のテクニカル・アカウント・マネジャーを割り当てるというもので,ネットワーク環境のレビューによって問題の早期発見と解決を目指す。チェック・ポイントも,2007年4月に世界で3番目となる「TAC(テクニカル・アシスタント・センター)」を開設,1万件以上のトラブルシューティング事例を蓄積したナレッジ・データベースを提供し,ユーザー自らが障害対応力を高めることを狙う