米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)
米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)
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 「Windows Vistaの開発で、我々は多くのことを学んだ。今後、Windowsのリリースに5年もの期間を空けることは二度としない」。米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)は来日記者会見で、こう宣言した(写真)。

 2001年に現行OSであるWindows XPが登場してから、次期OSのWindows Vistaの登場までは、実に5年もの期間が空いた。企業向けのライセンス販売は11月からスタート。一般向けのパッケージは、バルマーCEOによれば「2007年1月30日に発売する」(関連記事)。

 バルマーCEOは「Windows XPを出荷した当時、我々は次のリリースでWindowsのすべてを変えようと思った。それがプロジェクト『Longhorn』だ」と語り、当初は将来をにらんだ野心的な新バージョンにする計画だったことを、改めて強調した。

 しかしLonghornの開発は難航し、当初は2003年と見られていた出荷時期が大幅に遅れた。目玉機能の一つだった、リレーショナル・データベース技術を使ったファイル管理システム「WinFS」の搭載を見送り。開発部隊の大幅な再編を余儀なくされた。一説には、Windowsで3500万行だったソースコード行数は、Windows Vistaでは5000万行にも上っているという。

 バルマーCEOは、開発が難航した理由を率直に語った。「開発から2年が経過した時点でアーキテクチャをすべて見直し、その上で全体の整合性を保つのが困難だった」と語り、旧バージョンとの互換性を維持したり、内部構造を洗練したりする作業に、予想外に手間取ったことを明らかにした。一方で、「セキュリティに対する脅威が急速に高まっていた。そこでセキュリティ向上を最優先事項に据えて、Windows XPのService Pack 2をリリースした」(バルマーCEO)。

 バルマーCEOは“反省”の弁だけでなく、当然ながらVistaをアピールすることも忘れなかった。「Windows Vistaは、過去のWindowsの中で最も優れた製品になる。ユーザー・インタフェースに様々な改善を施し、OS全体の使い勝手も大幅に改善した。多くの日本の中小企業のコンピュータ化に貢献するだろう」。