液晶ディスプレイの背面にマウントしたシン・クライアント端末「US100」
液晶ディスプレイの背面にマウントしたシン・クライアント端末「US100」
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 NECは,サーバー側で動作する「仮想PC」の画面情報を表示するタイプのシンクライアントにおいて,動画や音声などのマルチメディア性能を従来よりも高めたシステムを開発。既存のシンクライアント・ブランド「VirtualPCCenter」に追加し,2006年11月6日に販売を開始した。出荷は12月15日。価格は,仮想PCの基本ソフトである「Express5800 VPCC仮想PCサーバ」が,20台の仮想PCを1台のサーバー機で運用する場合で191万6000円(税別)から,シンクライアント端末が1台5万2000円(税別)など。

 新たに販売を開始したシンクライアントは,VMwareの仮想化技術を用いてクライアント環境をサーバー機上に統合し,画面情報をRDP(Remote Desktop Protocol)経由で端末に転送するグラフィックス描画機能を拡張するもの。基本ソフトとなる「Express5800 VPCC仮想PCサーバ」は,VMwareの画像処理の仕組みに変更を加え,動画の再生を仮想PC上で実行せず,動画の描画命令そのものをシンクライアント端末に送る。一方,対となるシンクライアント端末「US100」は,動画の描画命令をハードウエアで処理する。

 VMwareの仮想化技術はもともとサーバー統合による管理コスト削減などを主な目的としており,動画の再生などデスクトップPCに匹敵するようなグラフィックス能力を得ることは難しかった。今回,動画の描画を仮想PC上で実行しない方式を採用したことで,仮想PCのグラフィックス能力の問題を回避した。

 シンクライアント端末のUS100は,出荷時点でMPEG-1およびMPEG-2形式の動画をハードウエアで再生する。いずれMicrosoftのWMV形式も使えるようにしていくという。動画の描画に加え,IP電話などで利用する音声の処理もハードウエアで実行することで,アプリケーション負荷などでCPUに高負荷がかかった場合でも,音声が途切れることなく利用できるようにした。