サイオステクノロジー 社長 喜多伸夫氏
サイオステクノロジー 社長 喜多伸夫氏
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 テンアートニは11月6日,社名をサイオステクノロジーに変更した。また2006年5月にクラスタ・ソフトの米SteelEyeを買収するなど海外展開も進めている。代表取締役社長 喜多伸夫氏に話を聞いた。

---社名をテンアートニからサイオステクノロジーに変更する。

 海外に展開していく中で,企業を伝えやすい名称を考えた。サイオスは「Software for Innovative Open Solutions」を意味する。革新的であることが重要な企業価値であると考えている。

---LinuxとJava,という事業領域は変わるのか。

 LinuxとJavaはもちろん重要だが,それに留まらずビジネスを広げる。一番重要視しているのはオープンソース。Red Hatのような購読料モデルではなく,オープンソース・ソフトウエアを利用するユーザーが必要とするサポートをいかに提供するか。さらにオープンソースであるかないかではなく,TCOの削減とそれを支援するサービスが我々にとってのビジネス領域であると考えている。

 実際,オープンソース・ソフトウエアのサポート・サービスがここへ来て伸びている。大企業がオープンソース・ソフトウエアを本格的に使い出した。今まで商用のAPサーバーを利用していた大企業がTomcatやJBossを試験的にではなく本格的な導入を開始し,それにともなってサポート・サービスを利用している。

---Mozilla Japanへの設立基金提供や,オープンソース開発プロジェクトを支援するOSPJ.netの設立を行っている。

 オープンソースが広がってくれないと我々のビジネスも広がらない。オープンソースが普及するための支援を今後もやっていく。オープンソースへの支援が業績に効果を定量的に算出することは難しいが,金額的にはそれほど多いわけではなく,我々のビジネスにとってメリットがあるものと考えている。

---2006年5月にクラスタ・ソフトの米SteelEyeを買収した。

 インフラ領域におけるソフトウエア製品をグローバルに販売していく。ボーダー(国境)を気にせずに世界にビジネスを展開したい。その第一段階としてStellEyeを買収した。

 従来の販売代理店という立場では,日本のユーザーが要求する細かいニーズを製品に反映できなかった。日本には富士通や日立製作所といった重要なハードベンダーがいる。そのきめ細かなニーズで製品に磨きをかけることができるようになることは大きい。

---テンアートニが開発したソフトウエアを海外で販売することもありうるのか。

 テンアートニはインフラに近い領域のソフトを販売している。買収で手に入れた販売網を最大限に活用していきたい。

 現状では日本のソフトウエアは海外で戦えていない。残念ながら,日本でグローバルなソフトは生まれていない。その理由は,日本市場が中途半端に大きいことにあると思う。

 日本で生まれないのであれば,海外のソフトウエアを取り込んでいくのも一つの方法だ。日本のユーザーの要求は厳しい。日本で鍛えて品質を向上させれば,世界で勝ち抜けるソフトウエアになる。