NECは本日、新たなシンクライアント製品群を日本や欧米に向けて、12月15日に同時出荷することを発表した。新製品群の中でも、目玉といえるのが手のひらサイズの小型シンクライアント端末「US100」(価格は5万2000円)である。

 US100の特徴は、NECが米ベンチャーのサーバーエンジンズと3年かけて共同開発したマルチメディア処理専用LSI「NetClient」を備えること。「US100を導入すれば、動画や音声といったマルチメディアデータをスタンドアロンPC(パソコン)並みの速度で処理できる」。US100の特徴についてNECの小林一彦執行役員専務はこう自信を見せる。

 US100以外には、ノート型シンクライアント「US50」(価格は22万円から)を出荷する。さらにシンクライント環境を構築するためのミドルウエアをプリインストールしたサーバー製品として「Express5800/VPCC仮想PCサーバ」や「同VPCC管理サーバ」を出荷する。これらにより「シンクライアントを実現するためのハードやシステムインテグレーションなどを合算した初期導入費用を、従来に比べ40%は削減できる」(小林専務)と強調する。

 NECは一連の新製品を、日本や欧米に加え、中国、東南アジアにも順次出荷する。日本を除く全世界で、500人規模の販売・サポート体制を確立する。「北米や欧州の現地法人を中核に、パートナーと連携しながらシンクライアント事業を拡大させていく。当面は日本企業の海外拠点を中心に攻めるが、チャンスを見ながら外資系企業にも売り込んでいく」(NECの藤岡忠昭マーケティング本部長)。

 今回の新製品の売り上げ目標は、今後3年間で1500億円である。小林専務は「これは控えめな数値。シンクライアントへの関心は高まっていることや、市場の予測データから見れば、4000億円ぐらいはいけるように思う」とする。

 ではNECとして、パソコンとシンクライアントをどう売り分けるのか。この点について小林専務は「顧客の要求に応じて、パソコンかシンクライアントを提供するだけのことで、どちらか一方に力を入れるとかいうことはない」と述べる。