写真1 怪しいメールの例(IPAの発表資料から引用)
写真1 怪しいメールの例(IPAの発表資料から引用)
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写真2 ワンクリック不正請求に関する相談件数の推移(IPAの発表資料から引用)
写真2 ワンクリック不正請求に関する相談件数の推移(IPAの発表資料から引用)
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 コンピュータ・ウイルスなどの届け出先機関である情報処理推進機構(IPA)は11月2日,心当たりのないメールについては,添付ファイルや本文中のリンクをクリックせずに,すぐに捨てるよう注意を呼びかけた。添付ファイルがウイルスであったり,リンク先が詐欺サイトや攻撃サイトであったりする場合が多いからだ。

 IPAには,「メールで誘導されたWebサイトでウイルスを感染させられた」といった相談が多数寄せられているという。例えば,単なる広告メールのように見せかけてユーザーをだまし,リンクや添付ファイルをクリックさせてウイルスやスパイウエアなどを取り込ませる手口が確認されている。

 メールによって誘導されることがほとんどのワンクリック不正請求(ワンクリック詐欺)の相談件数も,10月は236件で過去最多だった(関連記事:「ワンクリック詐欺」入門編)。

 このためIPAでは,見知らぬ差出人からの心当たりのないメール,自分に関係のないと思われる怪しいメールは,本文や添付ファイルを開くことなくすぐに捨てるよう呼びかけている(写真1)。

 同日IPAは,10月中のウイルス届け出件数を発表した。発見届け出数は3696件(9月は3551件)。そのうち,実害があったのは11件(9月は22件)だった。報告件数が多かったウイルスは,Netsky(876件),Bagle(375件),Stration(346件)――だった(いずれも亜種を含む)。

 このうち,8月に出現したStrationについては,亜種が多数出現しているとして特に注意を呼びかけている。亜種によって挙動が異なり,それらが添付されて送られてくるメールの件名や本文もさまざまである。例えば,StrationをWindowsの修正パッチ(セキュリティ更新プログラム)に見せかけるメールが当初は多数確認されたが,最近では“お宝”画像や最新ニュースに見せかけるメールが出回っているという(関連記事:「修正パッチに見せかけるウイルス」の亜種が続出)。

 また,10月中に寄せられたネット詐欺などに関する相談件数も発表。前述のように,ワンクリック詐欺に関する相談件数は236件で過去最多を記録。2005年10月以降,ワンクリック詐欺の相談件数は月間100件を超える状態が続いている(写真2)。

 偽のセキュリティ対策ソフトを無理やりインストールさせようとする「セキュリティ対策ソフトの押し売り」の報告も多く,10月は41件だった(9月は23件)。

 ファイル共有ソフト「Winny」に関連する相談は12件だった(9月は9件)。例えば,「Antinny(Winny経由で感染を広げ,パソコンに保存されている情報を流出させるウイルス)に感染していたことが分かった。情報が流出したかどうか調べる方法はないか?パソコンには会社の情報もあった」といった相談が寄せられた。これに対してIPAでは,「個人では情報流出の有無を調べることは難しい」として,会社や関係先に報告して善後策を検討することを勧めている。また,ファイル共有ソフトの利用はこういった危険と隣り合わせであることを認識するよう改めて呼びかけた。

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