シマンテックは11月2日,Windowsサーバー用バックアップ・ソフトの新版「Backup Exec 11d」を発表した。「Exchange Server」のデータを常時バックアップすることによって,いつでも任意の時点のメールやアイテムを復元できる「継続的データ保護」に対応した。価格は12万5000円からで,11月6日に発売する。

 「Backup Exec」は前バージョンの「10d」で,Windowsファイル・サーバーの「継続的データ保護」に対応した。ファイル・サーバーの継続的データ保護の実態は,ファイル・サーバー上のデータのレプリケーション(複製)。通常のバックアップでは,バックアップを開始した時点のデータしか保護できないが,継続的データ保護ではレプリケーションを使用しているので,障害が発生する直前のデータも保護できた。また,スナップショット技術を使ってレプリケーション・データの変更差分を記録することによって,任意の時点のデータの復元も可能にしていた。

 Backup Exec 11dの新機能であるExchange Serverの継続的データ保護の実態は,Exchangeデータベース(Jetデータベース・エンジン)のトランザクション・ログのレプリケーションである。1度Exchange Serverのデータをフルバックアップした後は,トランザクション・ログだけをレプリケーションし続ける。従来のバックアップのような,日次や週次の定期バックアップは不要だ。データの復元には,データベースのフルバックアップ・データとトランザクション・ログを使用する。障害が発生する直前のデータだけでなく,任意の時点のデータを復元できる。

任意の時点のメールやアイテムが復元できる

 Exchange Serverの復元は,データベース単位の復元(全ユーザーのメール・ボックスの復元)だけでなく,個別のユーザーのメール・ボックスや,個別のメールの復元も可能である。同社では,個別データの復元機能のことを「Granular Recovery Technology」と呼んでいる。

 Backup Exec 11dでは,Exchange Serverだけでなく,SharePoint Portal ServerやActive Directoryにおける個別データの復元にも対応した。データベース全体を復元するのではなく,ユーザーがSharePointのポータル・サイトに保存したデータ・ファイルや,Active Directoryのユーザー・アカウントといった,個別のデータを復元できる。

 このほか,「DB2」や「Oracle RAC」用のバックアップ・エージェントと,MacintoshやLinux,UNIXのリモート・バックアップ・エージェントも追加された。リモート・バックアップ・エージェントをインストールすると,サーバーのデータをネットワーク経由でBackup Execにバックアップできるようになる。
 Backup Exec 11dの価格は,通常のWindows Server版とWindows Small Business Server Premium版が12万5000円(アップグレード版は7万5000円),Windows Small Business Server Standard版が9万3500円(アップグレード版が5万6100円)である。

 データベース・アプリケーションのバックアップには,それぞれエージェントが必要になる。エージェントの価格は,Exchange Server,SQL Server,SharePoint Portal Server,DB2,Oracle,Lotus Domino用のものがそれぞれ15万6400円,Oracle RACエージェントの価格が50万2300円。リモート・バックアップ・エージェントの価格は,Windows Server用が6万2100円,Microsoft Data Protection Manager用が6万2100円,Macintosh,Linux,UNIX用がそれぞれ4万6400円。

 なお,Exchange Serverの継続的データ保護は,Exchange用オプションだけで可能である。ファイル・サーバーの継続的データ保護を行うためには,Windows Server用のリモート・バックアップ・エージェントが必要。Active Directoryの個別データの復元を行うためには,Active Directory用のエージェント(15万6400円)が必要になる。