オープンソースのOS,ミドルウエア,アプリケーションの組み合わせを検証し「SpikeSource Core Stack」として提供する米SpikeSource。日本ではNEC,シーイーシーがパートナーとなり,NECは出資も行っている。CEOのKim Polese氏に同社のサービスやオープンソース・ベンチャ企業の動向などを聞いた。(聞き手はITpro編集 高橋信頼)。
---SpikeSourceの顧客は。
数十社あり,金融,製造,小売,政府機関など様々な業種がある。1社あたりの契約金額は,小規模な場合年間1万ドルから1万5000ドル,大規模なユーザーでは年間10万ドル規模になる。
---サポートしているオープンソース・ソフトウエアに問題があった場合,SpikeSourceがバグを修正することもあるのか。
問題を調査し,既にバグ修正パッチが存在すればそれを適用するが,存在しない場合,我々内部にエキスパートがいるので,パッチを作成して適用する。作成したパッチはコミュニティにフィードバックする。
この1年で1ダースくらいのパッチを作成した。一例をあげれば,MySQLでスレッドのデッドロックにより障害が発生する問題が我々のテストで発見され,パッチを作成した。
我々の従業員は約100名で,うち約60名が技術者。MySQL,PostgreSQL,JBossなどさまざまなソフトウエアのエキスパートがいる。またコミュニティとも連携している。
---SpikeSourceの競争相手は?
SalesForceやSiebel,Interwovenといったアプリケーション・ベンダーだ。SpikeSourceはCenrtiCRMやCRMのAlfresco,BIツールのJasperSoftといったオープンソースのアプリケーションをサポートし提供している。
Oracleは競合相手ではない。Oracleは先日Linuxのサポート・サービスを行うと発表したが,対象はRed Hat Enterprise Linuxだけ。我々はRed Hat Enterprise Linux以外にもFedora Core,SUSE Enterprise Linux,Widnowsと様々なOSを対象にしている。また対象はあくまでインフラ。我々はアプリケーションも対象だ。
Red Hatなどのディストリビューション・ベンダーもインフラに集中している。今後は予測でなきないが,現時点では競合しない。
---オープンソースでビジネスを行うベンチャへの投資状況は。
増えている。この数カ月間だけでも,BIツールのJasperSoftやPentaho,PostgreSQLベースの商用DBMSを販売するEnterpriseDBなど数多くのオープンソース・企業に,ベンチャ・キャピタルからの投資が行われた。
過去の第一次オープンソース・ベンチャ・ブームは,Red HatやMySQL,Zend Technologiesといったインフラを扱う企業への投資だった。それに対し今回の第二次オープンソース・ベンチャ・ブームは,前述したJasparSoftやPentahoなどアプリケーションが中心だ。
---とはいえ,オープンソース・ソフトウエアによるビジネス・モデルはまだ確立されておらず,高い収益を上げているオープンソース・ベンチャはそう多くない。
一部については確かにそうだ。しかし,オープンソース・ソフトウエア・ベンダーは過去のプロプライエタリなソフトウエア・ベンダーに比べ,はるかに低いコストで顧客を獲得している。きわめて成長が早いと言える。
OracleやSunといった大企業にいた人たちがオープンソース企業を立ち上げている。オープンソース・ソフトウエアはメインストリームになった。ソフトウエア・ビジネスが変わったのだ。
---SpikeSourceには米Sun Microsystemsの創業者の一人Bill Joy氏が取締役として参加している。彼はどのような役割を果たしているのか。
(BSD UNIXの生みの親である)Billはオープンソースのパイオニアであり,コミュニティの力を誰よりもよく理解している。
彼からはITの未来やコミュニティ,経営まできわめて広い範囲にわたってアドバイスを受けている。