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 オープンソース関連の有償サービスを提供する米スパイクソースが日本国内でのビジネスを拡大してきた。昨年からシーイーシーが販売代理店として活動しているが、この10月にNECが提携、さらに現在、伊藤忠テクノソリューションズとパートナー契約の締結を進めている。スパイクソースのキム・ポレーゼCEO(最高経営責任者)に、ビジネスの現状と他社にない強みについて聞いた(聞き手は、森側真一=日経コンピュータ)。

――米国でのビジネスは好調なのか?
 好調だ。現在、数十社の顧客を抱えており、数の伸びは加速している。顧客には、規模の大小や業種による偏りはない。パートナーの力を借りてマスマーケットを狙っている。現在、パートナー企業も約60社に上る。ただ、まだ単年度の黒字化には至っていない。

 我々が提供するサービスは大きく二つある。一つは、オープンソースのOSやミドルウエア群を組み合わせて動作検証したセット「SpikeSource Core Stack」の提供。もうひとつは、そのオープンソース・ソフトのセットに対し、自動的にパッチやアップデートのソフトを提供する「SpikeNet」だ。

 これらを利用することで、企業の情報システム部員がオープンソースを導入して保守するよりも、3分の1から10分の1のコストで済むと試算している。米国ではU.S.Foodserviceという食品関連会社が、CRM(顧客関係管理)システムにおいて両サービスを利用している。

 日本では、NECがExpress5800にCore Stackをプレインストールした製品を販売することに期待している。日本市場への期待は高く、日本支社を置くことも現在検討を進めている。

――なぜ安くサービスを提供できるのか?
 徹底した自動化にある。毎日、100種超のオープンソース・ソフトのコミュニティ・サイトやメーリング・リストからクローリング・ソフトによって情報を収集し、そのなかから重要な情報だけを自動でフィルタリングしている。100種超のソフト群の組み合わせに対し、30万シナリオのテストを自動実行する。

 他社にもマネできることかも知れないが、スパイクソースを設立した2003年の以前から企画し、これまで改良を続けてきた。そうやすやすと追いつかれるものではない。

 米オラクルがレッドハットのサポート料金が高いと指摘していることについては、中立的な立場としてなんとも言えないところだ。だが、我々は検証技術を高めることによって、ユーザーにとって魅力的な料金を提示していく。

 またレッドハットやスウェーデンのMySQLとは違った、コミュニティとの新たな関係を築いていることも特徴だ。コミュニティから情報を得る代りに、テスト結果やバグ修正の情報をコミュニティに還元する。

 さらに、我々の収益もコミュニティに還元することを実施している。例えば、オープンソースのコンテンツ管理ソフトの「Drupal」を開発するコミュニティに対し、我々が技術者を雇い入れて開発を手助けしている。多くのコミュニティに対して、スパイクソースがユーザーに対する一括窓口になるわけだ。

――オラクルがレッドハットのLinuxディストリビューションをサポートすることは、ユーザーにとって良いことなのか?
 選択肢が増えるのは、良いことだ。スパイクソースも、ユーザーに選択肢を広げることを使命として進めてきた。ただ我々は、OSのサポート・ビジネスには進出するつもりはない。レッドハットやMySQLはコミュニティと同じ位置づけで、パートナーとして協力していく。