UFJISは,三菱UFJフィナンシャル・グループに,約200ノードのLinuxで約70システムと,金融システムとしては世界でも最大級のLinuxシステムを提供している。どのような投資効果が得られたのか,導入にあたっての注意点は何か。UFJIS オープンプラットフォーム部部長 末廣修司氏に聞いた。
---三菱UFJフィナンシャル・グループは,金融機関としては世界でも最大級のLinuxシステムを利用しています。
UFJISがMUFGグループ各社に提供するシステムの内,70近いシステムが,約200ノードのLinuxで稼働しています。2003年に情報系から導入を始め,現在では勘定系を含む基幹システムでも利用しています。
三菱東京UFJ銀行が提供しているダイレクト・バンキング・システム(*)もその内の一つです。このシステムはUNIXとLinuxのサーバーで構成され,41台のうち29台がLinuxです。
(*)三菱東京UFJ銀行が使用しているダイレクト・バンキング・システムは,旧BTM口座用,旧UFJ口座用とが並存しており,本システムは旧UFJ口座用のシステムである。
---どのような投資効果が得られましたか。
コスト対効果の向上があげられます。2003年時点の測定ですが,Linuxを搭載したIAサーバーはRISC UNIXサーバーに対して4倍の価格対性能比を示しています。
また,Linuxの採用にあたっては,ソフトウエアの種類やバージョン,導入手順などを標準プラットフォームとして標準化しました。
これにより,3年間で50近い新規システムを稼働させスピーディな経営施策展開が可能になるとともに,すべてのシステムの品質を一定の水準以上に押し上げることができました。
参考までに言えば,残りの20システムについてはUnixからLinuxへの移植になります。
---基幹システムへの適用は容易だったのですか。
金融機関の基幹システムに適用できる品質を確保するために,徹底した検証を実施したところ,多くの問題も明らかになりました。一例をあげれば,大量I/O発生時にメモリーの不足が発生し不安定になる現象が発生したりしました。
この問題に対しては,チューニングやカーネルのバージョンアップなどを行い修正しました。