写真1●マイクロソフト オンラインサービス事業部ディレクターの塚本信二氏
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写真2●「ソフトウエア+サービス」という取り組みは,1990年のWindows,1995年のWeb,2000年の.NETに匹敵するという
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 マイクロソフト オンラインサービス事業部ディレクターの塚本 信二氏(写真1)は11月1日,「NET Marketing Forum 2006」で基調講演を行い,同社が12月に「広告プラットフォーム・サービス」の提供を開始することを明らかにした。米Googleや米Yahoo!のOvertureに対抗する複合的ネット広告サービスを,マイクロソフトが事業会社などの広告主に対して提供する。

 マイクロソフトは2005年10月に,広告収入をベースにするサービス事業を「Live」ブランドで強化すると発表した。マイクロソフトの塚本氏は「2005年に開始した『ソフトウエア+サービス』という取り組みは,1990年のWindows,1995年のWeb,2000年の.NETに匹敵する『第4の波』になる」と強調する(写真2)。既に「MSN」の検索サービスが「Live Search」に衣替えするなど,Liveブランドへの移行が進んでいる。Liveブランドのサービスの特徴は,Web 2.0という言葉に代表されるユーザー参加型メディアへの対応になる。

 塚本氏は「既存のMSNは,『あらかじめ使いやすく編集されたコンテンツを好むユーザー層』に向けたポータル・サービス,新しい「Windows Live」は『自分の気に入った情報をカスタマイズすることを好むユーザー層』に向けたカスタマイズ・サービス」とまとめる。


写真3●カスタマイズが可能なWindows Liveのトップ・ページ
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 例えばWindows Liveのトップ・ページは,ユーザーが選択したRSSフィードを表示させたり,Webブラウザ上で稼働するミニ・アプリケーションである「Liveガジェット」を表示させたりと,カスタマイズ可能になっている(写真3)。Liveガジェットは将来,Windows Vistaが備える「サイド・バー」のガジェットと統合され,Webブラウザで使っているLiveガジェットを,ドラッグ&ドロップでサイド・バーにインストールできるようになるという。


写真4●米国でサービスが始まっている地図サービス「Live Local」
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 またLive Searchでは,マクロを使ってユーザーが検索クエリをカスタマイズすることによって,本人にとって不要な検索結果を除外したりできるようになる。このほか塚本氏は,「Google Map」の対抗サービスである地図サービス「Live Local」の日本語版を11月に提供することも明らかにした。米国では既に,Live Localの地図データと,米国の「セレブ情報サイト」のデータとを組み合わせて,セレブの間でお気に入りのレストラン情報を地図に表示するサービスなども提供している(写真4)。こういったマッシュアップも,Liveのサービスでは容易になると主張している。

 ただし「Liveをやるからといって,MSNの位置づけが弱くなるわけではない」(塚本氏)とも述べている。「テレビを考えていただきたい。MSNは編集された地上波テレビであり,Liveはユーザーがあらかじめコンテンツをベースにチャンネルを選択するCS放送みたいなもの。視聴者は,どちらか片方だけを見ているわけではない」(塚本氏)。


写真5●様々なオンライン・サービス上で広告を展開する「Microsoft Digital Advertising Solutions」
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 これらLiveブランドのサービスの収入源は広告である。マイクロソフトは12月に「Microsoft Digital Advertising Solutions」という広告主向けの新ブランドを立ち上げ,MSNやWindows Live,「Office Live」「Xbox Live」といった様々なオンライン・サービス上で広告を展開できるようにする複合広告サービスを提供する(写真5)。「詳細は12月に発表する」(塚本氏)が,既に米国で実施している複合的な広告サービスの一例を紹介した。


写真6●2006年夏に「Windows Live Messenger」を使った大規模な広告キャンペーン
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写真7●現在研究中の「クリッカブル動画」
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 例えば2006年夏に,映画「スーパーマンリターンズ」の公開に合わせて,「Windows Live Messenger」(旧称はMSN Messenger)を使った大規模な広告キャンペーンが展開された(写真6)。これは,ユーザーに対してスーパーマンの俳優やロゴを使ったメッセンジャのスキンやアイコン(テーマ・パック)を提供することで,映画のパブリシティを行うというもの。「テーマ・パックを使っているユーザーにおいて,スーパーマンリターンズに関する高い口コミ効果が見られた。メッセンジャで話をしている相手と映画のことを話題にした人の割合が46%,話し相手がテーマ・パックに興味を持った割合が31%だった」(塚本氏)という。

 またマイクロソフトは現在,「クリッカブル動画」という技術も研究している(写真7)。動画に登場している俳優の服をクリックすると,その服に関する情報をWebサイトから入手できるといった技術である。このほか,携帯電話向けのLiveサービス(Live MessengerやLive Mail)での広告サービスなどを検討していることも明らかにした。