全国に約1800店あるミニストップの店舗
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加盟店が作成した新しいおにぎりのアイデア
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 ミニストップは11月14日、加盟店からアイデアを募集して商品開発した新しいおにぎり3品を発売する。加盟店に対し、7月25日から、おにぎりのアイデアを募集したところ、約1800店ある加盟店のうち208店から応募があった。ミニストップは募集時の公約通り、今回そのうちの3店のアイデアを商品化した。3品は「焼きマヨおにぎり」「ごろっと角煮だっ高菜!?」「茶飯おにぎり(鯛そぼろ)」。

 コンビニエンスストアの新商品開発に加盟店のアイデアそのものを取り入れること自体、業界では珍しい試みである。それに加えて今回の施策は、新商品開発を店員の教育プログラムの一環としてとらえている点に特徴がある。

 加盟店にもコンビニの商品開発プロセスを体験してもらうことで、「商品への関心を高めてもらって発注を見直したり、スタッフミーティングでのアイデア出しを通じて加盟店で働く店長や店員の結びつきを強めてもらう。結果的に、加盟店から集まるアイデアは、顧客のことを一番知っている現場の創意工夫が詰まっていた」(おにぎり担当である商品本部米飯・デリカ商品部の辻森康人氏)

 ミニストップは加盟店が知恵を絞って考えてくれたアイデアを実際に商品化することで、店員のモチベーションを高めることを狙っている。そこで、アイデアシートに書かれた内容は、具材の選択はもちろんのこと、価格設定に至るまで加盟店のアイデアを最大限に尊重することにこだわった(一部変更を加えた部分もある)。「加盟店は毎日顧客に接しているから、この具材のおにぎりはこの価格なら売れるという強いイメージを持っている。プロの値づけに劣らない感覚を持っていることがよく分かった」(同)

意識を高めたら、既存のおにぎりが売れ出す

 興味深いのは、7月25日からのアイデア募集をきっかけに、ミニストップ全店のおにぎりの売り上げが上向いたことだ。7月末以降、おにぎりの販売は前年比で10%上昇している。

 少なくとも、全店の約20%に相当する208店が新しいおにぎりのアイデアを検討するためにおにぎりへの関心をいつも以上に高めてくれた。その結果、「既存のおにぎりの発注精度が確実に上がった。加盟店がおにぎりへの関心を高めてくれた証拠と考えている」(同)

 現時点では、まだ11月14日の発売前だが、ミニストップは加盟店から、おにぎりへの関心を引き出せた。それが既存のおにぎりの売り上げを上げることにつながった。コンビニ業界全体でおにぎりを含む食品の売り上げが伸び悩む中での販売増だけに、ミニストップは今回のプロジェクトが成功だったと評価している。

 しかも新商品の発売後には、応募した加盟店は気合いを入れて、自分が提案したおにぎりを売ってくれるだろう。そこでも加盟店の協力がいつも以上に得られることは、ほぼ間違いない。