契約システムの不具合に関する説明会で、料金の改定について説明するソフトバンクモバイル 代表執行役社長兼CEOの孫正義氏
契約システムの不具合に関する説明会で、料金の改定について説明するソフトバンクモバイル 代表執行役社長兼CEOの孫正義氏
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 ソフトバンクモバイルは2006年10月30日、新料金プランの「ゴールドプラン」を改定すると発表した。ゴールドプランは2006年10月23日に発表したばかり。改定内容は、ほかの通信事業者に向けた通話料を、通話先・曜日・時間帯を問わず一律30秒当たり20円(税込み21円)にするというもの。当初発表のゴールドプランでは、通話先・曜日・時間帯に応じ24通りに細かく設定されていた。

 ゴールドプランについて、ソフトバンクモバイルは「基本料金2880円」「ソフトバンクモバイルの端末宛て通話は0円」であることを強調していた。これに対し、競合他社やユーザーから批判の声が上がっていた。その内容は、まず21時~翌日1時の間は料金の制約があり、ソフトバンクモバイルあての通話であっても1カ月当たり200分を超えると課金されること。次に、ほかの通信事業者に向けてある程度通話すると、NTTドコモやKDDI(au)の料金プランより割高になる恐れがあること。さらに、NTTドコモやKDDIの料金プランより複雑であることなどだ。今回の改定は、こうした批判に対処するもの。また、複雑な料金体系をユーザーや販売店が理解しやすいよう簡素化し、店頭での接客時間を短縮することも狙っている。

土日のシステム停止を説明、「迷惑を掛けたことをおわびする」

 併せてソフトバンクモバイルは、2006年10月28日から同29日に発生した情報システムの不具合について説明した(発表資料)。

 この不具合では、ユーザーの新規加入・契約変更・解約などを管理するサーバーが2度にわたり停止。携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度の運用を停止する事態を引き起こしていた。

 具体的には、10月28日の夕方に各種申し込みの件数が増えサーバーの処理能力を超えたため、サーバーを停止させMNP処理と自社内での変更処理などをすべて休止した。プログラムを改修したうえで翌29日朝にサーバーを再度稼働させたが、処理待ちとなっていた申し込みの集中などにより同日昼に再び処理能力を超え、その後終日にわたりMNP処理を休止した。

 同社によると、問題があったのは、家族割引を適用中のユーザーが、MNP制度を利用してソフトバンクモバイルから他社へ転出する際の処理。解約するユーザーが家族割引の主回線か副回線かを参照し、主回線を解約する場合には、副回線のうち1つを主回線に昇格させるといった処理を実施していた。この処理が業務サーバーの負荷を増大させ、MNPの転入・転出を含め新規契約・契約変更・解約といった業務サーバーの処理全般にエラーが頻発した。

 さらに、事態を悪化させたのは、MNPの転出処理の再実行が重なった点。MNPの転出処理に関しては、事業者間の取り決めにより、他社サーバーからの照会を受けて120秒以内に回答するよう定められている。期限内に回答がない場合は自動的に再度照会する仕組みだ。これにより回答待ちの処理が飛躍的に増加、処理時間をさらに遅延させる結果になった。

 同社は10月28日夜にサーバーのプログラムを変更。同時処理可能なスレッド数を2倍に増やすなどの措置を取ったが、翌29日に再び停止した。このため、MNPの転出処理を担うプログラムを業務サーバーから切り離し、MNP受付用サーバーと開通処理用サーバーとで処理する仕組みに変更した。このほか、11月1日~5日の5日間は機種変更など大半の業務について、終日受付停止または受付時間の短縮を実施し、MNPの処理を優先させるとの対応策を発表している。

 ソフトバンクモバイル 代表執行役社長兼CEOの孫正義氏は、「NTTドコモやKDDI、ひいてはユーザーに約束した120秒以内という処理時間を守れず、迷惑を掛けたことについておわびする」と謝罪した。

MNP後の契約者数、純減を示唆

 孫氏は、説明会の質疑応答でMNP開始後の契約数の変動について質問を受け、純減であることを示唆した。質問に対する直接的な回答を避けつつも、「他社からの転入は実質的に2006年10月26日からしか受け付けていない。10月24日から25日はゴールドプランの受付をしておらず、転出のみを受け付けていた。26日以降は転入の方が多いと私は感じているが、詳細な数字は(説明会場に)持ってきていない」と語った。