写真 システム障害の説明をする孫正義・代表執行役社長兼CEO(左)と阿多親市・専務執行役情報システム・CS統括本部長兼カスタマーサービス本部長
写真 システム障害の説明をする孫正義・代表執行役社長兼CEO(左)と阿多親市・専務執行役情報システム・CS統括本部長兼カスタマーサービス本部長
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 10月30日,ソフトバンクモバイルは28日,29日と続いたモバイル番号ポータビリティに関する申し込み業務の停止について,当初の原因は「ポートアウト」,つまりソフトバンクモバイルから他社への転出処理だったことを明らかにした。

 ただし転入数と転出数については公表しなかった。孫正義・代表執行役社長(写真)は「24日と25日の2日間は事実上(新料金プランである)ゴールドプランの発売はしていない。26日以降の本格的な発売」であるとし,その後のMNPシステム停止などもあり「イレギュラーな形になっている」と説明。数値についての発表は控えた。なお,KDDIはMNP開始1週間で8万純増,ドコモは29日時点で6万純減であることを公表しており,ソフトバンクモバイルはおおよそ2万の純減と推定できる(関連記事:「番号ポータビリティ開始1週間でKDDIは8万純増,ドコモは純減」)。

 MNPで自社の加入者が他事業者へ移る場合,他事業者からの要請に対して120秒で自社ユーザーの解約作業を実施してリクエストを戻すという事業者間の取り決めがある。ソフトバンクモバイルの阿多親市・専務執行役情報システム・CS統括本部長兼カスタマーサービス本部長は,「自社の業務トランザクションの中にMNPの処理を入れていた。そこがひっ迫したため他の事業者に120秒でリクエストが返せなくなり,リトライを繰り返してエラーになった」と負荷が増大した理由を説明。その解決のためにMNPのシステムを停止してシステムの増強を実施したとしている。

 阿多専務執行役は,MNPの転出処理が遅くなった原因として家族割引の契約者の例を挙げた。家族割引の「主回線」の契約者が解約した場合,「副回線」が「主回線」に“昇格”する。その後元々副回線だった契約者の解約処理が発生した場合,「副が主に変わっているので(自社の業務システムと実際に送られてくる契約者データの情報に異なる点があり),手間取った」(阿多専務執行役)。今後の対応として,「主副は,実際の請求時にステータスがはっきりすればよい」(同)とし,料金請求時に対応することとした。

 また,MNPの受付を停止してソフトバンクモバイルから他社への転出ができない状態であるにもかかわらず,同社への新規契約受付を継続したことについても質問が及んだ。孫社長は,「自社の業務システムが止まったわけではない」ため,自社の申し込みは続行したが,一方で「MNPは相手があった上でのやりとり。MNPのシステム障害について他社から十分納得いくまでは保留したいという返事があった」と説明した。

 なお,孫社長は新料金プラン「ゴールドプラン」における他の携帯電話事業者への通話料金について30秒に付き20円(税抜き)にすることを発表。「他社へかけるときは高いとの指摘を受けたので他社の料金に合わせた」(孫社長)。また今回の障害に対する経営責任については「今は対策に集中している。それ以外は十分に議論されていない」として明言を避けた。