テーブルや棚が置かれたステージ上で寸劇風に実演する。写真は京都工芸繊維大学のインタラクションデザインチーム
テーブルや棚が置かれたステージ上で寸劇風に実演する。写真は京都工芸繊維大学のインタラクションデザインチーム
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スギウラブラザーズチームは小学校の学習発表会に参加するという設定で、ロボットが手に持ったベルで曲を演奏した
スギウラブラザーズチームは小学校の学習発表会に参加するという設定で、ロボットが手に持ったベルで曲を演奏した
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 ロボットを暮らしに役立てるためのアイデアを競うコンテスト「ロボLDK ~ロボットのいるくらしコンテスト~」が2006年10月29日、神奈川県横浜市のクイーンズスクエア横浜で開催された。あくまでもアイデアを競うコンテストで、実際にロボットがその通りの動作をしなくてもよい。テーブルが置かれたリビングルームを模したステージ上で、ロボットの新しい用途を参加者が寸劇風に実演した。

 参加したのは、親子やロボットを研究している大学生など9チーム。ロボットで脳をトレーニング、ロボットで登校、ロボットで振り込め詐欺を防止するなど斬新なアイデアが発表された。昨年から始まったコンテストで、今回は第3回目。主催は神奈川県と日本ロボット工業会。

 京都工芸繊維大学のインタラクションデザインチームは、ぬいぐるみ型ロボットを使って、脳をトレーニングするゲームのアイデアを実演した。まずロボットが左右の腕あるいは頭を動かして、いくつかのポーズを作る。ゲームに挑戦する人は、その一連の動きを覚えたうえで、ロボットを手で動かし、同じポーズをさせる。順番通りに同じポーズを取らせることができれば正解となる。デモでは、会場にいた観客がゲームに挑戦。ロボットは「これは簡単やろ~」などと関西弁の音声を発しながらゲームを進める。かわいい見た目とのギャップが会場の笑いを誘っていた。正解すると、問題が難しくなるといった、分岐処理の機能も備えているという。

 兄弟姉妹4人で参加したスギウラブラザーズチームは、風邪を引いた小学生の代わりにロボットが学校に行き、学習発表会に参加するというシナリオを紹介した。ロボットを身代わりに使うことで二次的な体験をするという、将来のロボット利用像を表現した。ロボットには小型カメラを搭載しており、ロボットの視点からの映像を自宅のパソコンで表示できる。学習発表会の場面ではベルを使って、曲を演奏する様子を見せた。遠隔操作でコントローラーのレバーを動かすと、ロボット側にレバーの動きが伝わり、ベルを持つロボットの手を動かせるという仕組みである。

 親子3人で参加した松っちゃん一家チームは、ロボットを詐欺の対策に使う様子を実演した。振り込め詐欺の電話を受けるおばあさんに、「振り込め詐欺ではありませんか。落ち着きましょう」と身振り手振りで話しかけ、思いとどまらせる様子を見せた。

 宮城県から参加の石巻専修大学 ロボット研究会チームは、ロボットを英語学習に利用する用途を紹介。英語を母国語とする人並みの発音能力を持ち、文法の誤りも指摘してくれるというロボットと一緒に生活して、学生が英語を身に付ける。

 不二越工業高等学校 情報機械化チームが披露したのは空気圧を使って動かす掃除ロボット。子供が寝ているときなど、掃除機が使いづらいときに掃除してくれるロボットを想定したという。

 複数の審査員による採点により、優勝は京都工芸繊維大学のインタラクションデザインチーム、2位がスギウラブラザーズチーム、3位が松っちゃん一家チームとなった。そのほかのチームにもそれぞれ「留学しま賞」「きれいにしま賞」などが贈られた。

 ロボットのコンテストというと技術力が求められる傾向があるが、ロボLDKでは生活の中でこう使いたいというアイデアさえあれば参加できるという間口の広さがある。参加者がこれまで以上に増えていけば、生活に密着したロボットの新たな用途を生み出す土壌となっていくだろう。