みずほ証券は10月27日、東京証券取引所(東証)に約415億円の損害賠償を請求する訴訟を東京地裁に提起したと発表した。昨年12月8日にジェイコム株を誤発注した際、その直後に取消注文を出したにもかかわらず、東証が取消処理を行なわなかったことにより発生した売却損とその他諸費用の賠償を求めたもの。みずほ証券は「当事者間での協議による解決を図るのは困難な状況であるとの判断に至り、やむを得ず提訴した」(広報)と説明している。

 損失分担に関する協議を、みずほ証券はこの3月から東証と続けてきた。役員間あるいは担当者間で合計10回以上、話し合いの場を持った。損失請求に対し東証は、取引参加者規程の「取引参加者が損害を受けることがあっても、当取引所に故意または重過失が認められる場合を除き、賠償しない」といった主旨の記述に従い、重過失には当たらないとして、支払いを拒否していた。

 今回の損失は、みずほ証券が新規上場したジェイコム株の売り注文について「1株61万円」と注文すべきところを、誤って「61万株1円」と入力したことに端を発している。その後、直ちに誤発注に気づき、複数回にわたって誤発注の取消注文を出したものの、東証の売買システムに不具合があり、取消注文が適切に処理されなかった。その結果、売買が成立し結果的に407億円の売却損が発生した。

 みずほ証券の提訴に対し東証は、「訴状の内容を確認した上で、しかるべき場において当方の主張を明らかにしたい」としている。