胴体部分がクローラーで覆われたPelican-09「Iris」
胴体部分がクローラーで覆われたPelican-09「Iris」
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ディスプレイに表示された映像を見ながら遠隔操作できる。ロボットの傾きや腕の角度も確認できる
ディスプレイに表示された映像を見ながら遠隔操作できる。ロボットの傾きや腕の角度も確認できる
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 大和ハウス工業、千葉工業大学、筑波大学は2006年10月26日、住宅の床下を点検するロボット「Pelican-09『Iris』」を発表した。従来の点検作業は、狭い床下を這って移動する重労働だった。点検にロボットを利用することで、作業員の負担を軽減できるほか、カメラの映像を顧客に見せながら作業できるため、信頼性の向上にもつながる。耐久性や安全性の検証を進め、2008年の実用化を目指す。

 Irisの胴体部分はクローラーで覆われており、がれきなど障害物を乗り越えて走行できる。前後左右にはクローラー付きの腕も搭載する。腕を上下に動かすことで、床下への貫通口などの段差も乗り越える。移動速度は秒速40cm。

 本体にはカメラと高輝度LEDを搭載。Irisからの映像を見ながら、水漏れ、ひび割れ、シロアリ被害の有無を点検する。Irisの移動方向やカメラの向きは無線で遠隔操作できる。発表会場では、ハイビジョン対応のカメラを搭載して高精細映像を表示するデモンストレーションも実施した。「将来は点検時に走行した経路や映像を自動的に記録し、カルテを作成するという使い方も視野に入れている」と千葉工業大学 未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長。検査結果を記録しておくことで、以前のデータと照らし合わせて異常を発見するといった使い方に応用できる。

 Irisは千葉工業大学が以前から開発していたレスキューロボットを小型化したもの。カメラをサーモグラフィーに乗せ換えれば、すぐにレスキューロボットとして転用できる。「実用化の際には、全国にある大和ハウスの拠点に約200台を投入する計画。万が一の災害時には、それらロボットを使えば質の高いレスキューができるだろう」(小泉副所長)と副次的な用途も期待できるという。Irisの幅は27cm、長さは40cm(腕をたたんだ状態)、高さは25cm。重さは約6kg。

床下への貫通口を乗り越えるIris。アームの角度を調節しながら段差を乗り越える