写真1:ヤフー事業推進本部 開発部制作チームリーダーの徳應和典氏
写真1:ヤフー事業推進本部 開発部制作チームリーダーの徳應和典氏
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写真2:UI開発のキーワードはプラネタリウム。膨大なコンテンツの中から,自分の好きなページを容易に見つけられるようにすることと,ユーザーが探し回るのではなく,目的のページが動いて視野に現れてくることを目指す
写真2:UI開発のキーワードはプラネタリウム。膨大なコンテンツの中から,自分の好きなページを容易に見つけられるようにすることと,ユーザーが探し回るのではなく,目的のページが動いて視野に現れてくることを目指す
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写真3:メニュー選択の画面。カーソルを中央に固定し,背景のコンテンツ(メニュー)が動く
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写真4:メニューの奥行きは2階層まで。すなわち2度、決定ボタンを押せば、目的のページに到達する
写真4:メニューの奥行きは2階層まで。すなわち2度、決定ボタンを押せば、目的のページに到達する
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 ヤフーは10月26日,マイクロソフト主催の次世代Webアプリケーション開発カンファレンス「REMIX Tokyo」の講演で,開発中のデジタル家電向けWebブラウザのユーザー・インタフェース(UI)のデモを実施した。社内で「プラネタリウム」というキーワードで呼ばれるこのUI開発プロジェクトは,ITリテラシーの低い高齢者や子供でも使いやすく,かつ目的のページに素早く到達できることを目指している。

 講演ではまず,ヤフー事業推進本部 デジタルホーム事業室長の坂東浩之氏が登壇し,PCや携帯電話だけでなく,テレビやゲーム機などの機器を使って簡単にインターネットが利用できるようにする「Yahoo! Everywhere戦略」について説明した。特に,デジタル家電の本命であるデジタルTVについては,インターネットに直接接続するものや,パソコン・ホームサーバー経由の情報配信「Yahoo! Digital Home Engine」について紹介した。

 次いでデジタル家電向けWebブラウザのUI開発プロジェクトのリーダーを務める徳應和典氏が登壇し(写真1),開発中のUIのデモを行った。「リビングルームにあるTVは,子供から高齢者まで幅広い年代がいっしょになって視聴するもの。誰にでもわかりやすく,操作しやすいリモコンとUIの開発を目指す」(徳應氏)。

 開発プロジェクトはプラネタリウム構想と呼ばれる。なぜプラネタリウムなのか。

 「夜空を見上げると膨大な数の星が見えるが,その中から自分の好きな星座は容易に見つけられるもの。同じように新しいUIでは,膨大なコンテンツの中から,自分の好きなページを容易に見つけられるようにする」と,徳應氏は説明する。プラネタリウムでは,天球上に星を輝線で結んで星座を浮かび上がらせる。また,人が動くのではなく,天球(視野)が動く。同じように新しいUIにおいても,ユーザーがあれこれ探し回るのではなく,目的のページが自動的に画面(視野)に現れてくることを目指す(写真2)。

3×3=9個のセルでメニューを表示

 ヤフーでは,開発に当たって、従来の家電機器のUIを調査した。対象はデジタルTV,ハードディスク・レコーダ,テレパソ,携帯電話,家庭用ゲーム機など。この結果,家電向けWebブラウザの望ましいUIとして,3つの要件を洗い出した。

 1つ目は,メニュー選択を行う場合,カーソルを中央に固定し,背景のコンテンツ(メニュー)が動くようにする(写真3)。「プラネタリウム的な発想の一つで,カーナビで地図上に現在位置を表示する方式がこれと同じやり方」(徳應氏)。端の位置にカーソルを置くよりも,周囲に表示される他のメニューへの到達効率が向上するのが利点だ。

 2つ目は,カーソルの位置を,水平4方向(縦・横それぞれ2方向ずつ),及び奥行き2階層の2軸で移動できるようにする(実際にはカーソルではなく画面が動く)。画面では,一度に縦・横3個ずつ,合計9個のセル形のメニューが表示され,リモコンの上下左右の移動ボタンを押せば,隠れていたメニューが連続的に現れる。この中から所望のメニューを決定ボタンで選択すると,一つ下の階層に移る。ここでも同様の形式のメニュー画面が現れ,同じように所望のメニューを選択すると,最終画面が現れる(写真4)。奥行きが2階層なので,この下の階層はない。

 3つ目は,Yahoo!JAPAN IDとの連携である。ユーザーの過去の利用履歴から,頻度の高いコンテンツを優先的に配置し,目的ページへ素早く到達できるようにする。

 ヤフーは,デモで紹介したもの以外にも,いくつかのUIの開発計画を進めているという。