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 「Linuxには、企業ユーザーが真に求めるエンタープライズ・サポートがない。ならばオラクルが提供しよう」。米オラクルのラリー・エリソン会長兼CEO(最高経営責任者、写真)は10月25日(米国時間)、米レッドハットのLinuxの新保守サービス「Unbreakable Linux 2.0」を発表した。Unbreakable Linux 2.0は、レッドハットのLinuxにバグが見つかったら、オラクルが修正プログラムを作成し、顧客に提供していくもの。オラクルの製品のユーザー以外でも、このサービスを利用することができる。

 「オラクルは1998年からLinuxに投資してきた。オープンソースという新しい技術開発は魅力的で、顧客にも使ってもらいたいとずっと考えてきた。しかし、Linuxにはまだ問題があった」(エリソン会長)。エリソン会長が指摘するLinuxの問題点は三つある。一つは、バックポートがないこと。二つ目の問題は、保守料が高いこと。三つめは、訴訟のリスクを抱えていることだ。オラクルは、Unbreakable Linux 2.0でこれらすべての問題を解決する方策を提供する。

 一つ目の問題であるバックポートとは、特定のバージョンでバグが発見され、そのバグを修正したときに、それ以前のバージョンでも同様の修正が反映できることを指す。「絶えずバージョンアップをしなければ、バグを解消できないようでは、基幹システムでは利用しにくい」(エリソン会長)。Unbreakable Linux 2.0では、バージョンを変更せずにバグを修正できるようにする。修正プログラムは、Linuxコミュニティに公開し、カーネルに組み込めるようにする。

 二つ目の保守料に関して、Unbreakable Linux 2.0では、「最も安い場合、1システム当たりのサポート料は年間99ドル。レッドハットのサポート料金の半分で済む」(エリソン会長)。実際には、Unbreakable Linux 2.0の年間サポート料金は内容によって異なり、1システム当たり99ドル~1999ドルになる。年間契約料が1199ドルの場合は、2以下のCPUで構成する一つのシステムに関して、バージョンアップせずにバグを修正できる。2007年1月31日までは、オラクル製品ユーザーであれば、90日間無料でサポートを利用することが可能だ。オラクル・ユーザーでない場合も、同日までに契約すれば、1年間のサポート料金を半額に割り引く。

 三つ目の訴訟リスクに関して、エリソン会長は、「もしLinuxが知的財産権に問題を抱えていたとしても、これはユーザーの問題ではない。Unbreakable Linux 2.0を契約した企業については、Linuxの知的財産権を原因とする賠償が発生するような場合には、オラクルがこれを補償する」とした。

 今回の発表についてエリソン会長は、「あくまでLinuxの採用率を加速するだけだ。OSを開発したいわけではない」と話す。「バグを直して、そのソースコードを公開する」(エリソン会長)。企業ユーザーが利用するLinuxのなかで、最もシェアが高いレッドハットのLinuxを選んだ。なお日本では「準備ができ次第、提供を開始する」(日本オラクルの新宅正明社長)予定である。