NTTインフラネットと京セラコミュニケーションシステム(KCCS),古河電気工業の3社は2006年10月25日,地上デジタル放送の信号を光ファイバーと無線中継システムを使って伝送する中継配信システムの実用化実験を行ったと発表した。同システムは,山間部や離島などにおける地上デジタル放送の難視聴問題の解決手段の一つとして,3社が共同開発したものである。今後3社は2011年のデジタル放送への完全移行に向けて,自治体などと協力して同システムの実用化を目指す考えだ。

 今回の実験では,岐阜県の岐阜市から下呂市までの約130kmの区間を光ファイバーで結び,岐阜市で受信した地上デジタル放送の信号を下呂市の総合庁舎まで伝送した。総合庁舎には18G/19GHz帯を使う無線親局を設置し,約2.6km先の無線子局まで放送信号を中継した。子局には既設の共聴用同軸回線と,FTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)回線の2種類のアクセス回線を接続し,どちらの回線を使っても地上デジタル放送を視聴できることを実証した。

 また同システムを使ってインターネット接続サービスを提供する実験も行った。実験ではインターネットへの接続,VOD(ビデオ・オンデマンド)サービス,自治体からの告知を行う専用端末への情報配信などのサービスが提供できることを確認したという。