米ガートナー リサーチ部門最高責任者 ピーター・ソンダーガード氏

 「次の10年を想像してほしい。現在16歳以下の子供たちが、世界を変えていく時代に入っていく」。米ガートナー、リサーチ部門最高責任者のピーター・ソンダーガード氏は、これから起きる大きな変革の波について予言する。「16歳以下の子供たちのことを、ITを慣れ親しんだ『デジタル・ネイティブ』と定義。今、この会場にいる聴講者たち、ITについて勉強しようと努力している人たちを『デジタル・イミグレイト』と定義する。少し意地悪かもしれませんが」と、ソンダーガード氏は新時代の人類を定義した。

 「ITがコンシューマ化していくにつれ、デジタル・ネイティブたちは、SAPやオラクルがどのように機能するかを気にしない。今やコンピュータは様々なところに存在している。携帯電話に限って言えば、今後5年間で40億台が増えて、全世界で50億台まで増える。それまでに、1企業が10億以上の消費者と対応できるだけのシステムを用意しなければならない」と、ソンダーガード氏は訴えかける。

 現在はまだ個人に向けたシステムはまだまだパワー不足だとソンダーガード氏は話す。「現在のシステムは、個人がソーシャル・ネットワークの中で振舞う行動を反映できていない。コンシューマが何を求めて、何を重要視するのかを注目しなければ、我々は方向を見誤る。50億の携帯デバイスが入り込んだ上で、音声、映像、コラボレーションなどの情報が行き交う、直感的なシステムが必要だ」。

 パソコンやITに対する見方も大きく変わるとソンダーガード氏は話す。「もはやパソコンは情報のゲートウエイにはならない。携帯電話以外にも、iPodのようなデバイスが台頭する。そうしたとき、ソフトウエア・ライセンスの提供方法(シートごとの課金など)も大きく変わるし、企業のシステムと個人のソフトを結びつけるコラボレーションの仕方も変わる。その答えは今の16歳の子供(デジタル・ネイティブ)たちが、どのようにITを使っているかきちんと聞いてほしい。いずれ今のデジタル・ネイティブが労働市場に入ってきて、彼らがIT業界を牛耳るようになる。そこに新しいチャンスがあるはずだ。大きな変革が足元で起きていることを認識してほしい」と、次の10年に向けたIT企業戦略について、熱く語って講演を締めくくった。