写真1 NECとNTTが共同開発した「メルロボ連絡帳」のデモ映像 ロボットのカメラで子供を正面から撮影できる。
写真1 NECとNTTが共同開発した「メルロボ連絡帳」のデモ映像 ロボットのカメラで子供を正面から撮影できる。
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 NECとNTT持ち株会社は10月25日,ロボットを通じて保護者が子供を遠隔監視するシステム「メルロボ連絡帳」を共同開発したと発表した。携帯電話のメールによって子供の動画像の撮影や発話などの操作を指示できる。「Webカメラによる“監視”ではなく,保護者の代理人としてロボットを使うことで現場の抵抗感を減らす」(NTTサイバーソリューション研究所の小川克彦所長)のが狙い。

 メルロボ連絡帳は,NECが開発したロボット「パーソナルロボットPaPeRo」,NTTサイバーソリューション研究所が開発したロボット制御サーバー,保護者の携帯電話で構成。携帯電話のメールを施設に設置した制御サーバーがロボット操作コマンドに変換,無線LANを通じてPaPeRoに指示を出す。

 両社は11月から「まいとプロジェクト」(東京都世田谷区)と「マコト愛児園」(山梨県南アルプス市)の2施設で実証実験を開始。2006年末まで実施する。

 実証実験は操作性やロボットが与える心理的影響,満足度の評価,システム面の検証などが目的。1月当たり1~2日,2時間程度の実験を1日当たり2~3回の頻度で実施する。試作システムの機能は,PaPeRoの頭部カメラによる動画像の撮影,童謡4曲の再生,保護者からのメールの読み上げ機能など。制御サーバーは画像が投稿可能なブログ・サーバーとしても動作。保育士と保護者をつなぐコミュニケーション・ツールとして活用する。

 現時点では,PaPeRoの操作はあらかじめ用意した定型文を保護者が選択する形態。実証実験における保護者の評価次第で自然言語認識の機能も検討する。今後は機能の拡充とロボットによる監視と対話の両立の有用性の評価を進め,託児施設や高齢者向けサービスの実用化に道筋を立てる計画だ。