NTTデータイントラマート社長 中山義人氏(右)とSeasarファウンデーション代表理事 栗原傑享氏(左)
NTTデータイントラマート社長 中山義人氏(右)とSeasarファウンデーション代表理事 栗原傑享氏(左)
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 NTTデータイントラマートは同社のWebアプリケーション・フレームワーク製品「intra-martフレームワーク」の基盤部分をオープンソース化し,NPO法人Seasarファウンデーションに寄贈,無償公開する。同製品はJavaScriptでサーバー側のプログラムも開発できることが特徴。オープンソース化によりユーザーの拡大を狙う。

 NTTデータイントラマートはNTTデータの子会社で,intra-martフレームワークの開発,販売などを行っている。intra-martフレームワークは約1700社が導入している。2002年の日経ソリューションビジネスによる調査では,商用Javeフレームワークとしては国内で販売金額1位トップ。2006年のノークリサーチによるSAPのフロントシステム構築ツールシェアでも28.6%で1位となっている。商用フレームワークとしては2000年と早期から販売を開始し,サポートや代理店網の充実に力を注いだことなどが普及した理由だ。

 intra-martフレームワークは,JavaScriptでアプリケーションを実行するためのスクリプトエンジンと,MVC(Model-View-Controller)モデルに基づくJ2EE(Java2 Enterprise Edition)フレームワークからなる基盤部分と,その上で動作するポータル,ワークフロー,帳票印刷,グラフ描画などの機能モジュールで構成される。基盤部分と機能モジュールを合わせて1CPUあたり100万円で販売している。

 今回オープンソース化するのは,JavaScriptエンジンとJ2EEフレームワークの基盤部分。機能モジュールは従来どおり有償で販売する。AjaxアプリケーションのWebブラウザ側プログラミング言語であるJavaScriptでサーバー側アプリケーションを記述し,呼び出せるため,Ajaxアプリケーションの開発も容易になるという。配布ライセンスはApache Software Licenceを採用,改変してもソースコード公開の義務は発生しない。

 「intra-martフレームワークの特徴は基盤部分よりもむしろ業務コンポーネントにある。基盤部分をオープンソース化することでユーザーが拡大,販売増につながると考えている。ユーザーにとってもソースコードが入手できるメリットがあり,パートナーにとっても販売機会の拡大が見込める」(NTTデータイントラマート 代表取締役社長 中山義人氏)。

 Seasarファウンデーションは,J2EEのDI(Dependency Injection)コンテナであるSeasar2などのオープンソース・ソフトウエアの開発,配布を行っているNPO法人。intra-martフレームワークはSesar2を内蔵している。

 NTTデータイントラマートでは,単にオープンソース化するだけではなく,Seasarファウンデーションに寄贈することで,コミュニティに帰属するオープンソース・ソフトウエアであることを明確化して普及を促進できると見ている。海外では,同様な目的でThe Apache Software Foundationに米IBMが軽量DBMSであるDerbyを,米BEA SystemsがSOA基盤Beehiveを,米Sun MicrosystemsがTomcatを寄贈するなど多くの例がある。

 Seasarファウンデーションでは現在,Seasar2やO-Rマッピング・ツールS2Daoなど約60以上のプロジェクトを運営している。スターロジックが開発したルールエンジンS2Buriなど,企業から寄贈されたものもある。「NPO法人として著作権をきちんと管理し,透明性や永続性を確保することでユーザーが安心してオープンソース・ソフトウエアを利用できるようにする。The Apache Software Foundationのように,多くのオープンソース・ソフトウエアに,普及のための場や,安心して使用できるようにするためのサービスを提供していきたい」(Seasarファウンデーション 代表理事 栗原傑享氏)と,今後もオープンソース・ソフトウエアの寄贈を受け入れていく方針。

 intra-martフレームワークは10月25日,開設されるコミュニティ・サイトintra-mart.orgで公開される予定である。