図1:職場復帰支援プログラム「armo(アルモ)」のトップページ
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図2:アルモのサービスの仕組み。休業者を支援するサービスと,企業の制度運用担当者を支援するサービスがある
図2:アルモのサービスの仕組み。休業者を支援するサービスと,企業の制度運用担当者を支援するサービスがある
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 多様な働き方に関するコンサルティングを行っているベンチャー企業のワーク・ライフバランスは,育児休業者などを対象にした職場復帰支援プログラム「armo(アルモ)」の販売を開始する。職場復帰に必要なスキルをネットで習得できるeラーニング,職場の上司や休業者同士の情報交換ができるブログなどのツールを備える。初年度200社への販売を目指す。

 女性の活用を推進したい企業にとって,出産・育児を機に退職してしまう女性社員が多いのは悩みの種。そこでワーク・ライフバランスでは,出産後の職場復帰を円滑に進めるための支援プログラムを開発,WebベースのASPサービスなどとして提供することにした。具体的には,育児休業者に対しては休業中のスキルアップ(eラーニング),職場とのコミュニケーション(コミュニティ・ブログ),復帰後の育児支援ツール(情報提供)であり,企業に対しては,育児制度の運用コンサルティングを提供する。アルモはこれらをトータル・パッケージ化したもの。人事部門やダイバーシティ推進部門などを窓口として販売していく。

 育児休業者を対象としたeラーニングでは,MicrosoftOfficeやLinuxといったITスキルを中心に,英会話や財務など40講座を開設し,休業中のスキルアップを支援する。情報提供ツールでは,利用者が出産予定日,復帰予定日を入力すれば,育児ノウハウや仕事と育児を両立するコツなどを,復帰した後も5年にわたってアドバイスしてくれる。

 コミュニティ・ブログは,休職者同士,あるいは職場上司との情報交換に使う。この場合,企業側の利用者には利用料が発生しない仕組み。さらに復帰後のサポート機能として,ベビーシッター派遣や保育所紹介,病時保育などの情報を提供する。

 アルモの目指すワーク・ライフバランス支援事業はもともと,資生堂が2000年に社内で実施したビジネスモデルコンテストで優勝した「育児休業者の職場復帰支援サービス」という新規事業が母体になっている。その後,ビジネスモデルの提案者で,現在ワーク・ライフバランス社長である小室淑恵氏がサービスの開発に取り組み,2005年に独立,今年7月に起業し,10月からアルモの販売を開始した。

 「女性のキャリアを中断させるとされてきた育児休業だが,アルモを導入すれば,キャリアを発展させ,復帰への準備期間として活用できるようになる」と,小室社長は導入効果について話す。「実際,導入を決めたある大手携帯電話機販売会社は,アルモを優秀な女性を採用するための差別化の手段として位置づけている」(小室氏)。

 アルモの価格は,導入時の登録費用が2万1000円(1企業あたり),年会費が3万1500円(同),月額使用料が6300円(1休業者あたり)。来春は,介護休業者やうつ病などによる休業者を対象としたサービスも開始する。