基調講演で語る米オラクルのチャールズ・フィリップス社長
基調講演で語る米オラクルのチャールズ・フィリップス社長
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 「次世代のエンタープライズ・アプリケーションを迅速に開発できるかどうかは、コアとなるデータベースやミドルウエアにかかっている」。米オラクルのチャールズ・フィリップス社長(写真)は10月22日(米国時間)、Oracle OpenWorld San Francisco 2006開幕の基調講演でこう語り、今後の事業戦略について語った。「エンタープライズ・アプリケーションでは、既存顧客が前と比べて良い結果が得られるようになったと思えるようにしなければならない」(フィリップス社長)。

 フィリップス社長は、「データベースやミドルウエアといった技術を中心に、ERPパッケージ(統合業務パッケージ)などのアプリケーションを周囲に持つ。これら3要素を中核とした“アンブレラ・ストラテジ”によって、オラクルの優位性が保てる」と語る。フィリップス社長によると、同社が提供するエンタープライズ・アプリケーションは、データベース、ミドルウエア、アプリケーションの3要素をコアに発展させたものであるという。「次世代のエンタープライズ・アプリケーションを迅速に開発できるかは、最高の技術で3要素を利用できるかにかかっている」(フィリップス社長)という。そのため、米ピープルソフト以降、25社にのぼる買収についても、「重要な戦略の一つ。各分野で最高の技術を持つ企業を買収することは、最高の商品を顧客に提供することにつながる」(フィリップス社長)とその意義を語った。

 加えて、今後は「既存顧客の痛みを解決できるソフトウエアにしていく」(フィリップス社長)とした。痛みとは、セキュリティやアップグレード、拡張性、開発生産性を指す。これらをいかに容易に、そしてより確実に解決できるかが今後の課題とする。「将来的には、自動的にリスクやコストを減らせるようにしたい」(フィリップス社長)。

 その一例として、基調講演では、今回新しく6世代目となる「Oracle Business Accelerators」を紹介した。Business Acceleratorsは、同社のERPパッケージ(統合業務パッケージ)で、ビジネス・フローを定義する際、ウィザード形式で開発できるようにした無償のツール。パートナー企業向けに提供していたが、ソフトウエアに無償で同梱したり、新たに建設や金融業種向けのテンプレートを用意する。

 Oracle OpenWorld 2006は、10月22日から26日までサンフランシスコのモスコーニ・センターで開催する。今年は、買収した米シーベルシステムズの顧客やパートナー企業が参加していることとなり、1600以上のセッションが設けられ、4万2000人が参加する予定である。