総務省は10月20日,「2010年代のケーブルテレビの在り方に関する研究会」の第7回目会合を開催した。今回の研究会は,構成員である上智大学の音好宏助教授が「ケーブルテレビの将来展望を考えるための課題」と題したプレゼンテーションを実施。それに続き,第6回目会合で挙げられたケーブルテレビ(CATV)をめぐる課題に対する方策案を総務省が提示した。

 音構成員はCATV事業者が再編や統合によって,都市部を中心に複数のCATV局を手広く運営するMSO(multiple systems operator)型と,特定市町村に密着する公営型に二極化している状況を説明。現在,二極の中間に位置する“地方都市型”とも言うべき事業者がMSO型事業者に吸収される構造にあるとした。

 続いて総務省側が第6回会合で挙げた課題に対する方策案を提示。例えば,地上デジタル放送を受信できない条件不利地域でのCATV事業者のインフラ整備には,「国が財政・金融・税制上の支援を行う」とする具体案を示した。

 映像配信市場の公正な競争環境促進という観点から,通信事業者が進めている次世代ネットワーク「NGN」との関係にも言及した。CATV事業者はNGNのインタフェース条件について,「積極的に関与し,必要に応じてインタフェース条件のさらなる開示を通信事業者に要請する」との案を示した。

 総務省は,一部地域を対象とするFM局であるコミュニティFMとCATV事業者の連携についての課題にも一歩踏み込んだ案を提示した。現在は「有線テレビジョン放送法」と「電波法」の審査基準によって,CATV事業者とコミュニティFMの兼営が制限されるているが,「具体的ニーズがあるかを調査した上で,必要であれば審査基準の見直しを検討する」とした。