写真 中間決算を発表するKDDIの小野寺正社長兼会長
写真 中間決算を発表するKDDIの小野寺正社長兼会長
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 KDDIは10月20日,2006年度の中間決算を発表した。連結ベースの売上高は前年同期比9.3%増の1兆6048億円,営業利益は同37.7%増の2295億円,経常利益は同37.8%増の2273億円で増収増益。KDDIの小野寺正社長兼会長は,「中間決算としては売上高も利益も最高水準。中間期の営業利益と経常利益が初めて2000億円を越えた」と胸を張った(写真)。

 好調な業績の推進力である移動通信事業の売上高は前年同期比5.7%増で,営業利益は同23.9%増。2006年度上期のKDDIの純増シェアが47.7%を記録するなど,順調なユーザー獲得が好業績につながった。9月末の累積シェアは28.1%で,「CDMA 1X WIN」の契約者数は1077万に達したという。

 携帯電話の番号ポータビリティ(MNP)の事前予約の状況については,「ほぼ想定通りだが,数は公表できない」(小野寺社長)とした。ただ,MNP開始に向けた気合は十分。「どのくらい動くか分からないが,今の純増数に比べると大きな流動層が生まれる。当社としては大きなチャンス。かなり早い時期から新端末やサービスを発表してきたので,特にビジネス・パーソンや企業ユーザーの切り替えに期待したい」(小野寺社長)と述べた。

 固定通信事業は,パワードコムの合併や直収固定電話「メタルプラス」の拡販などにより売上高が前年同期比26.6%増。営業損益は168億円の赤字となったが前年同期に比べて127億円分,赤字幅が縮小した。「メタルプラスは来年度に黒字化する予定なので,今後はFTTH(fiber to the home)の販売に軸足を移す」(小野寺社長)。

 FTTH事業は,2007年1月1日に東京電力の光ファイバ事業を統合し,中長期的に首都圏の提供エリアでシェア30%獲得の目標を掲げる。9月末時点のFTTHユーザー数は,KDDIと東京電力を合わせて約53万回線。

 2006年度下期に向けた取り組みについては,「FMBC型サービスを開発している」という聞き慣れないキーワードを公表。「FMBCはfixed mobile & broadcast convergenceの略。FMCに放送も組み入れた,通信と放送の融合型のサービス開発に着手した」(小野寺社長)。具体的には「ワンセグ」などを活用した新サービスを考えているようだ。