マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部の横井本部長(右)と、同本部のOffice製品マーケティンググループの田中道明マネージャ(左)
マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部の横井本部長(右)と、同本部のOffice製品マーケティンググループの田中道明マネージャ(左)
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 2006年10月18日から東京ビッグサイトで開催されている、PC+デジタルの総合展示会「WPC TOKYO」。中でも注目を浴びているのが、一般向けに初披露された「Windows Vista」と「the 2007 Office system」(以下、Office 2007)だ。たくさんの来場者を迎えて熱気のあふれる会場で、Office 2007の責任者がインタビューに応じた。マイクロソフトのインフォメーションワーカービジネス本部の横井伸好本部長と、同本部のOffice製品マーケティンググループの田中道明マネージャだ。Office 2007のインパクトや、来場者の反応などを聞いた。

■会場に詰めかけたユーザーの反応は。

横井氏:来場者の表情を見ていれば、その反応の良さが分かる。例えばにこやかに笑みを浮かべたり、大きくうなずきながらステージのプレゼンテーションを見てくれている。プレゼンテーションの担当者に話を聞いても、聴衆の反応が普段と大きく違う、と言っている。反応が良いため、プレゼンをしながら自然に気分が乗ってくるそうだ。

 Officeを試用できる「タッチ&トライコーナー」では、新しいOfficeのユーザーインタフェースを興味深そうに使っている人がいる。後ろから見ていると、試しに触りながらも、新しいユーザーインタフェースの操作法をすんなりと身に付けている様子が分かる。全体として、非常に手応えは良い。

 実は、現行製品である「Office 2003」発売の1年前には、ユーザーインタフェースの刷新は決定していた。それ以来、新たなユーザーインタフェースの開発を極秘に進めてきた。

 日本法人の社員が、新Officeを初めて目にしたのは2005年の7月。デモを見た社員から、大きな拍手がわき起こったのを今でも覚えている。あのときの我々の感動と同じものを、来場者は今ここで感じてくれているだろう。

■ユーザーインタフェースだけでなく、ファイル形式もXMLに変わる。

横井氏:Office 2003でもXMLに対応したが、それは標準フォーマットではなかった。Office 2007では、標準のファイル形式がXMLになる。

 XML形式で保存できることで、人々は長期にわたって安心してデータを蓄積できるだろう。例えば金融機関に勤務する人が使っているExcelシートは、シミュレーションのための関数の固まりで、知的財産の結晶ともいえるものだ。これを、仕様の公開されていない、マイクロソフトの独自フォーマットの中に閉じこめておいていいのか、という疑問があった。もちろんしばらくは問題なく保存できるが、未来永劫大丈夫だという保証はない。Office 2007のファイル形式の仕様は公開されているので、こうした不安を取り除ける。

 ただ、広く使われるファイル形式がXMLになるまでには、数年かかると思う。普及するには、3~4年かかるのではないか。ただ10年後には、ほぼすべてのデータがXMLになっているだろう。こうなれば、全く新しいデータ活用の可能性が出てくるのではないだろうか。

 なお、XMLなんて関係ない、という多くの一般ユーザーにも、新しいファイル形式にはメリットを感じてもらえるはずだ。最も分かりやすいのが、ファイルサイズが大幅に小さくなること。また万一ファイルが壊れてしまっても、容易に修復できるという利点もある。

■米グーグルの「Google Docs & Spreadsheets」のように、WebベースのOfficeソフトも出てきている。これらをどの程度意識しているか。

横井氏:グーグルなどの企業は、ソフトウエアをサービスとして提供する、いわゆる「SaaS(Software as a Service)」のアプローチを採っている。だがこれが本当にユーザーにとって便利かといえば、多くの場合そうではないと我々は考えている。

 マイクロソフトが取るべきアプローチは、「SoftwareプラスService」だ。ソフトウエアはクライアントにインストールされていて、その利便性を高める付加価値をサービスとしてサーバーから提供する。

 グーグルが提供しているWebベースのワープロソフトを見ても、編集機能という面では、どう転んでもクライアントのソフトウエアに勝てない。少なくともあと5年は追い付けないと思う。ただWebベースのソフトは、データ共有は得意。この点を、我々は「プラスService」の部分で提供したい。

 なお、米国では業務ソフトをインターネット経由で提供する「Office Live」を開始している。日本国内でも、まもなくこの製品をアナウンスする予定だ。

■新Officeを、どのようにユーザーに訴求していくか。

横井氏:Officeソフトは、結局、道具に過ぎない。人が道具を買い換える理由はただ一つ、便利だからだ。

 新Officeを従来版と比較すると、そこには歴然とした差がある。その差を分かってもらうには、直接触ってもらうのが一番。例えばExcel 2007で一度グラフを作ってみれば、Excel 2003までのグラフが急に古くさく見えてくるだろう。新しいユーザーインタフェースがあるからこそ、今までとは次元の違うデータを簡単に作れるのだ。

田中氏:ただ今までは、ユーザーに直接製品を触ってもらう機会はなかった。今回この場で試してもらって、見栄えの良い文書を簡単に作れることを実感してもらっている。このように実際に触ってもらえれば、その良さを間違いなく分かってもらえるはずだ。