2006年10月19日、ソニーは2006年度の連結業績見通しを下方修正すると発表した。為替が円安であること、そしてエレクトロニクス事業が好調なため、売上高および営業収入は8兆2300億円に据え置く。しかし、営業利益は1300億円から500億円に、当期純利益は1300億円から800億円へとそれぞれ下方修正する。
下方修正の理由として、「デルやアップルコンピュータおよびレノボ製パソコンなどで搭載したソニー製のリチウムイオン電池パックの交換にかかる費用とプレイステーション 3のハードウエア価格の変更などによるもの」(ソニーの執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏)としている。
まず、増収部分を見ると、円安の影響があることと、デジカメや液晶テレビなどエレクトロニクス分野の販売が好調なため、約540億円の増収を見込んでいる。またリストラなど構造改革費用で予定していた500億円が400億円程度で済むことから100億円のプラスとなり、変更後の増収金額の見通しは約640億円となる。
しかし、リチウムイオン電池の交換費用で約510億円減、さらにプレイステーション 3向け半導体の生産稼働率の低下で約330億円減、さらにプレイステーション 3の価格変更や仕様変更で約300億円減、PSPの売れ行きが見通しを下回るため300億円減となり、すべてを合計すると1440億円の減収となる。営業利益は2006年4月時点の1300億円から、500億円となる見込み。
リチウムイオン電池の交換問題については、原因などについては詳しくは触れなかったものの、対象となる電池パックは全部で960万パックに上ること。ユーザーに安心して使ってもらうため自主交換プログラムを実施することで、当初発表していた300億円程度が510億円にまで膨らんだと説明している。
リチウムイオン電池を回収するメーカーとの負担割合については「かなりの部分をソニーが負担する」(ソニーコーポレート・エグゼクティブ SVPの原直史氏)。また、これ以上費用が発生しないのかという問いに関しては「考えられる交換費用を盛り込んでいる」としている。