2007年度の方針を説明するシスコシステムズの黒澤保樹社長
2007年度の方針を説明するシスコシステムズの黒澤保樹社長
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 「NGNとは、従来のインフラでは参加できなかった人・モノに付加価値を持たせ、日本経済の潜在成長力を2%から3.5%に引き上げるもの。データや音声、映像、携帯端末などを融合する“クワッドプレイ”は、NGNの一部にすぎない」。シスコシステムズの黒澤保樹社長(写真)は、2007年度(2006年8月~07年7月)の方針説明会でこのように語った。

 黒澤社長は、「NGNは、インフラ面で日本が世界をリードしている。シスコは3年前に、世界のサービス・プロバイダ向けのサービスや機器を、日本法人が主導的に開発していくことを決めた」という。NGNのサービスに必要な機器やアプリケーションの開発を手掛けていく。例えば、「CRS-1などの超大規模ルーターや、テキストと音声を変換する機器、グループウエアと連携するアプリケーションなど」(同)という。ゆくゆくは日本がリーダーシップを発揮して「国際標準を作っていきたい」と黒澤社長は抱負を語る。

 07年度は、NGN以外にも二つのテーマに注力するという。(1)ユニファイド・コミュニケーション、(2)中堅・中小企業向け戦略の強化、である。

 ユニファイド・コミュニケーションとは、IP電話を中心に携帯端末などを駆使し、場所や時間、デバイスに関係なく、音声やデータのやり取りを可能にすること。従来はルーターやスイッチ製品を販売していたエンタープライズ営業の部隊を、07年度はユニファイド・コミュニケーションを販売する部隊にする。機器だけでなく、アプリケーションの開発までサポートできるようにする。また、新たなパートナー開拓にも力を入れ始めた。「すでに今年に入って、新規に約50社のリセラーが加わった」(同)。

 中堅・中小企業向け戦略の強化では、「認定リセラーを2000社まで増やしたい」(同)と意気込む。昨年、中堅・中小企業市場向けに約100人の部隊を新設した。今年度は「部隊の増強はないが、シスコの機器とアプリケーションを中堅・中小企業に体感してもらうため、移動式ショールームの『Cisco NOW Van』が全国を走っている。来年5月に移転する新オフィスでは、よりユーザー企業が見学しやすいようなスペースを作る」(同)。

訂正:掲載時は、タイトルと本文で「NGNは企業の成長率を2~3.5%上昇させるもの」としていましたが、「NGNは日本経済の潜在成長率を2%から3.5%に上昇させるもの」と訂正いたします。